2006年7月 4日

ジプシー

ジプシー 歴史・社会・文化』読了。

ジプシーというのは一つの民族だと思っていましたが、本書を読むとそうではないということがわかります。

これまでの通説では、インド北西部を起源とし、西へ西へ流れてヨーロッパ各地に住み着いた(漂流している?)とされてきましたが、どうやら資本主義社会、近代社会の発展に伴って発生した流民層が起源のようです。

なので、ジプシーとひとくくりにしても、言葉・習慣などでかなりの違いがあるわけです。もちろん共通項もありますが、それはジプシーとしてひとくくりにしてしまったが為の先入観が原因ではないでしょうか?

ところで一般に言われるように、インドから流れてきて、地元の人と融和せず独自の生活形態を維持していた、と聞かされると、あたしなどは中国の「客家(ハッカ)」をイメージしていまいます。

現在のジプシー研究の成果からすると、この連想はあまり感心しませんが、それでも比較研究の対象としては面白いのではないでしょうか? 本書には日本のサンカにも触れている章がありますし、あながち的外れとも思えませんが...。

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