2006年4月 6日

この本が売りたいのね?

昨晩は「本屋大賞」の発表式でした。

会場は明治記念館。中央線の車窓から毎日のように見ていたましたが、初めて訪れました。あたしの恩師の一人が、その昔結婚式を挙げたのがここなので、「ああ、あたしも早くここに友人・知人を招いて盛大な披露宴をやりたいなあ」なんて思いながら会場入りしました。

昨年までの出版会館に代わり、今年からはかなり広い会場を用意したわけですが、それでも大盛況で、出版会館に比べ天井がはるかに高いぶん、酸素の不足は感じませんでしたが、動き回るには大変な賑わいでした。

さて、今年の受賞作。ノミネート作品を含め、どれも既にかなり売れている作品ばかりでしたので、大賞がどれになっても異論はありませんが、その一方 で「もうこんなに売れているんだから、候補から外したら」という気がしないでもないです。この気持ち、やはり実行委員(審査委員?)の中にもあったような ことが「本の雑誌」似も書かれていました。

まあ、あたしのように文芸書はあまり読まない人間には、とりあえずこれらから始めてみたら、という意味でもありがたい便利な賞ではあるんですけど......

ところで帰路、お土産にいただいた「本の雑誌」を読んでいましたが、書店員の皆さんの熱い思いに感動しました。数少ないながらも、あたしが読んだ本 もありまして、失礼ながら「え、あの本でこんなに感動しちゃうの?」という素朴な気持ちを懐きつつも、「やっぱり人によって感じ方って様々だなあ」と新鮮 な気持ちも味わいました。

書店員の皆さんのコメントでよく見られるフレーズに「これまで読んだ本の中で」とか「人生最高の」といった<この本で人生観が変わる>式のフレーズです。

あたしもそんな一冊ってあったかしらと考えてみました。しばし考えてみて思いつくたのは、やはり『韓非子』でした。「かん・ぴ・し」と読みます。中国古典です。

あたしの場合、先にも書きましたが文芸書ってあまり読まないので、こういった思想書とかになっちゃうんですけど、この本は中学を卒業して高校に入る頃に読みました。

歴史好きで、当時の愛読書が新人物往来社の月刊誌「歴史読本」でした。歴史物の新書などが主たる読書対象で、文芸作品といえば「歴史読本」に出ている歴史小説(その号のテーマに合わせたものがほとんど)を読むくらいが関の山でした。

そういった歴史小説にしばしば引かれる<孫子の兵法>という言葉。そんなところから中国古典への興味が目覚めたわけで、なんか読んでみようと思った手始めが『韓非子』でした。

人間不信を徹底したその思想は、ものすごく共鳴でき、その後の大学進学も結局は中国思想を専攻し、卒業論文・修士論文ともに、韓非子をテーマにはしてませんが、その影響をものすごく受けた内容になりました。(このあたりはこちらに書いております。)

たぶん「他人なんか結局信じられない」という思いは、いまだに尾を引いているのだと思いますから、人生を変えた一冊(変えたと言うよりは、決定づけたと言う方が正しいかも?)となると、あたしの場合『韓非子』になると思います。


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