2006年3月15日

他人を見下す若者たち

他人を見下す若者たち』読了。

新書なので気軽に読める本かと思いきや、心理学的実験を踏まえた実証的な記述でまとめられた本でした。ただ、決して取っつきに悔いないようではな く、多少の心理学的な知識があると理解しやすい面もあるのでしょうが、やはり人間観察を中心とした身近なテーマなので、そんなものは抜きでも十分読めま す。

若者がどうのこうの、といったものではなく、あくまでデータを踏まえた分析が主となっていて、著者の造語「仮想的有能感」をキーワードに現代若者気質というものが腑分けされていきます。

ただ、この手の本を読んでいていつも思うのは、「でも、こういう若者を作り出したのは、あんたら大人でしょ?」という疑問です。目の前の若者につい てああだこうだと語る前に、なんでこういう若者を作り出してしまったのか、この数十年間の日本の教育とか躾とかってのはどうなっていたのか、そういったも のを概説してくれる手頃な読み物が欲しいところです。いろいろな概念や方法を用いて若者を分析していますが、何でそうなったかも考えないと、結局何の解決 にもならないと思うのは不遜な考えでしょうか?

でも、幸いにして(不幸にして?)あたしはいまだ独身で子供もいないのですが、犯罪の低年齢化が叫ばれる昨今、「親は何をしている!」と叫んだ時に、本当ならあたしもそういう子供たちの親の世代なんだなあ、としみじみ思ってしまいます。

コメントする