始末書、書きます!
ある人と談笑していた時に、話題がホームページのことに及び、「IBMのある社員が個人で作っているホームページで会社の機密をばらしてクビになった」という話を聞きました。
言われてみると、あたしもそのニュース、どこかで聞いたような気もしますが、なんでも開発畑の人が、現在開発中のシステムだかなんだかについて、自分のホームページで書いてしまったというのです。
うーん、これは黒でしょうね。クビになるのも仕方ないでしょう(T_T)。
でも例えば、自分があるアイデアをひらめいて、それを自分のホームページで書いたとします。その人は開発部の人間だったけれど、たまたま現在会社が 進めている新プロジェクトには加わっていなかったので、あくまで自分の想像(妄想)のつもりで「こんなアイデアどうだろう?」と書いたのだとします。とこ ろが、自分が思いついたそのアイデアが、彼が参加していないプロジェクトチームで現在鋭意開発中のものと偶然一致してしまったとしたら......。
そして、ある人が彼のホームページのその書き込みを見て「会社の機密を漏している」と言い出す可能性は大いにありますよね。プロジェクトに参加していなくても、その人が同僚との話の中で新プロジェクトのことを耳にしていた可能性だってあるわけですし。
でも本人にしてみれば、「自分ならこんなことやってみたい」といったつもりで、思いついたことの備忘録代わりに書いたホームページの文章が、たまたま会社が進めているプロジェクトと一致してしまい、機密漏洩と疑われてしまったわけですから災難です。
どんな企業にも、会社の機密を漏してはいけない(業務上を知り得たことを外部に漏してはいけない)といった項目が契約事項に入っていると思います。
でも、具体的に<機密>の定義をしているところってあるんでしょうか? 機密であるかどうかを決めるのは、恐らく会社側なんでしょうけど、本人が 「それが機密なの?」っていう認識だったら、少なくともそこに悪意は感じられませんよね?(もちろん、自分の会社は実は○○億円も借金がある、なんて書い たりしたらやっぱり漏洩なんでしょうけど!)
あたしの勤務先は出版社ですから、例えば「こんな本を出します」ということを、あたしがこのダイアリーで書いたとした場合、そろそろ広告を出すよう な時期(つまり刊行直前)になっていれば、<機密漏洩>と言うよりも、むしろ<宣伝>って言えるのではないかと思いますが、刊行予定の一年も前に「こんな 本を出します」なんて書いたら<漏洩>ってことになってしまうのでしょう。(ちなみに、この場合果たして<機密>なのか、という気はします。<機密>って もっと深刻なものっていう印象があるもので......)
でも、これも、ある編集者が実際にそういう企画を進めているのを知らずに、あくまで「この著者にこんな本を作ってもらったら(書いてもらったら)売れるだろうなあ」という風な書き方(つまり、あたしの妄想)であったら、果たして機密漏洩になるんでしょうか?
個人情報保護がうるさい昨今、何でもかんでも「教えられません」という窮屈な時代になっていますから、上述のケースでも会社から機密漏洩だと指摘され、始末書を書かせられたり、あるいは減給されたりってケースも、今後は増えてくるのかもしれませんね。おー、コワイ。
それと、会社の品位を落とすような行動をしてはいけないってのも契約事項にあるのかもしれません。匿名のホームページだと自分の会社の悪口を、時に は実名をあげて糾弾しているサイトもあるみたいですが、これも会社にバレたら処分されるのでしょう。確かに罵詈雑言や事実無根の事柄を書くのはどうかと思 いますが......。
ただ、この手の話では、しばしば「会社の品位を落とす」と言われますけど、逆にその会社の利益に貢献しているウェブサイトだってあるわけですよね。 そういうのって具体的に数字とか形になって表われてくるものではないのでわかりにくいですが、確かにあると思います。そういったものを評価する制度は、処 分を科す方に比べて遅れている気がします。
というわけで、あたしもこんなダイアリーをやっているので気を付けたいと思います。クビにならずに始末書で済むなら書きますよー!
ただ、このダイアリーを見て、会社にたれ込むくらいなら、まず直接あたしにメールで言ってきて欲しいんです。たれ込みだと、なんか「卑怯!」って感じるんです。(もう、ずいぶん昔にありました......経験談)
いや、別にたれ込む人を非難しているとか文句を言ってとかじゃなく、あたしはこうして逃げも隠れもせず書いているわけなので、まずはあたしにアプローチしてくればいいんじゃないかと、そう思っているだけなんです。
しかし日本社会の不思議なのは、あたしがこのダイアリーで、先頃金メダルを取った荒川静香選手のことをけちょんけちょんに罵ったとしても、一部熱狂的な不安の人からクレームが来るかもしれませんけど、多くの場合、何事もなかったかのように流れていってしまうと思います。
ところが、例えばあたしがある書店員さんについて、個人名を挙げてないとはいえ、わかる人にはわかるような書き方で非難めいたことを書いたとすると、非常に会社的にも問題になってしまうのです。(例えば書いた内容が真実のことであっても!)
やっていること(書いたこと)の悪さからすれば前者の方がはるかに問題なのに......。これが社会ってものなのでしょうか?
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