フリーペーパー
昨今の書店店頭はフリーペーパーが花盛りです。手書きポップが優勢なのは変わりませんが、それでもフリーペーパーがこの一、二年じわじわと増えているのは感じられます。
かつては何かしらフェアをやっているときに、(たいていは)出版社が用意したフェア用の小冊子が片隅に置いてあったりしました。フェアのコンセプトだとか、セレクトされた作品の紹介がメインで、お客様に自由に持ち帰ってもらうために作られたものです。フェアの場では買ってもらえなくても、小冊子を眺めていて次の機会に買おうと思ってくれるのではないか、そういう期待が込められていました。
ところが最近のフリーペーパーはそういうものとは異なり、書店員さんがみずから作っているものが目立ちます。別に店頭でやっているフェアと連動しているとは限りません。むしろフェアなんかやっていないことの方が多いです。表現は悪いかも知れませんが、「好きで勝手に作って置いている」といった感じのものばかりです。そんなフリーペーパーの中で書店員さんたちは最近のお薦めの新刊を紹介したり、新刊でなくても読んで面白かった、是非他の人にも読んでもらいたいという本を紹介してくれています。
こういうフリーペーパーは、確かにもう長いこと発行している書店(書店員さん?)もあり、かつてあたしもこのダイアリーで紹介したことがあります。ですから、ここへ来て始まったものではありません。ただ、この一、二年で増えたなあという気がするのです。
というわけで、最近、吉祥寺の書店店頭で見つけたペーパーを少々ご紹介します。
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吉祥寺にあるブックス・ルーエに置いてあった、津村記久子さんフィーチャーのフリペ。ここは昔からいろんなフリペを作って配布していました。そのフリペを読んでいるだけで楽しくなりますし、いろんなことを教わります。お店の方が愉しんで仕事をしていらっしゃるのが伝わってくるフリペです。
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ちなみに津村さんセレクトの10冊の中に、あたしの勤務先の『中二階
』がエントリーしていました。津村さん、ありがとうございます。そうそう、津村さんにはお会いしたことはないのですが、サインをいただいたことがあります(顛末はコチラ)。
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二つ目は、ちょうど青土社さんの「現代思想」フェアをやっていたジュンク堂書店吉祥寺店さんに置いてあったフリペ。これは青土社さん謹製ですね。たぶん「現代思想」フェアをやってくれた書店さんに配ったものでしょう。識者からのコメントも載っていて、実は密かに力のこもった内容になっています。振り返って、雑誌「ふらんす」でこういうものが作れるか......
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最後はリブロさんです。吉祥寺店で見つけましたが、吉祥寺店の他に小手指店、新所沢店、よむよむの埼玉大井店、以上四店舗の有志で作成しているフリペのようです。とりあえずは創刊準備号(手前)と創刊号です。創刊号の発行に併せて有志によるお薦め文庫フェアを開催中だそうです。
フリペを一つのお店の複数の有志で作っているところは多々ありますが、異なる店舗の人が協働で作っているのは珍しいのではないでしょうか? なにせ店がそれほど近いわけでもなければ、お互いの休みだって重なっているわけではありません。編集作業には困難がつきまとうはずです。やはりインターネットやケータイが普及した現在なればこそ、でしょうか?
それにしても、新刊が入ってきてそれをチェックして書棚に並べる、その結果棚に置けなくなった本を抜き取る(どれを抜くかもかなり神経を使う仕事のはず)、抜き取った本を出版社に戻すための返品作業(箱詰めも)、郵便やファクスで届く注文書や新刊案内を見て必要な書籍を発注する......。客商売の書店とは言え、お客様とは向き合わないこれだけの仕事があります。
これに接客(クレーム処理も含め)、レジ当番、棚の整理があり、その合間には出版社の営業がやってくるのでその応対もしなければならないわけですから、あたしが言うまでもなく書店の人はとても忙しいです。(このあたり、『書店ガール
』やコミック「上京花日
」シリーズなどを参照ください)
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そういう忙しい合間を縫って、これらのフリーペーパーを作っているわけですよね、書店員さんたちは。本当に頭が下がります。
書店の業務という面から言えば、別にやらなくてもよい仕事です。勝手に自分たちでやっていると言われても、一面では確かにその通りです。でも、こんなに面白い本があるんだ、是非読んでもらいたい、という気持ちをお客様に伝えようとするのは、書店としては最も基本的な仕事でもあります。
出版社の人間としては、例えば書誌情報を提供するとか、著者のコメントなどの橋渡しをするとか、こちらで手伝えることがあれば、役に立てるものを提供できるのであれば、できる限り協力したいと思います。やっぱり、お店の人が忙しくても楽しく仕事をしていると、その気持ちって書棚の表情にも表われるだろうし、お客様にも伝わると思うのですよね。
かつては何かしらフェアをやっているときに、(たいていは)出版社が用意したフェア用の小冊子が片隅に置いてあったりしました。フェアのコンセプトだとか、セレクトされた作品の紹介がメインで、お客様に自由に持ち帰ってもらうために作られたものです。フェアの場では買ってもらえなくても、小冊子を眺めていて次の機会に買おうと思ってくれるのではないか、そういう期待が込められていました。
ところが最近のフリーペーパーはそういうものとは異なり、書店員さんがみずから作っているものが目立ちます。別に店頭でやっているフェアと連動しているとは限りません。むしろフェアなんかやっていないことの方が多いです。表現は悪いかも知れませんが、「好きで勝手に作って置いている」といった感じのものばかりです。そんなフリーペーパーの中で書店員さんたちは最近のお薦めの新刊を紹介したり、新刊でなくても読んで面白かった、是非他の人にも読んでもらいたいという本を紹介してくれています。
こういうフリーペーパーは、確かにもう長いこと発行している書店(書店員さん?)もあり、かつてあたしもこのダイアリーで紹介したことがあります。ですから、ここへ来て始まったものではありません。ただ、この一、二年で増えたなあという気がするのです。
というわけで、最近、吉祥寺の書店店頭で見つけたペーパーを少々ご紹介します。
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吉祥寺にあるブックス・ルーエに置いてあった、津村記久子さんフィーチャーのフリペ。ここは昔からいろんなフリペを作って配布していました。そのフリペを読んでいるだけで楽しくなりますし、いろんなことを教わります。お店の方が愉しんで仕事をしていらっしゃるのが伝わってくるフリペです。
ちなみに津村さんセレクトの10冊の中に、あたしの勤務先の『中二階
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二つ目は、ちょうど青土社さんの「現代思想」フェアをやっていたジュンク堂書店吉祥寺店さんに置いてあったフリペ。これは青土社さん謹製ですね。たぶん「現代思想」フェアをやってくれた書店さんに配ったものでしょう。識者からのコメントも載っていて、実は密かに力のこもった内容になっています。振り返って、雑誌「ふらんす」でこういうものが作れるか......
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最後はリブロさんです。吉祥寺店で見つけましたが、吉祥寺店の他に小手指店、新所沢店、よむよむの埼玉大井店、以上四店舗の有志で作成しているフリペのようです。とりあえずは創刊準備号(手前)と創刊号です。創刊号の発行に併せて有志によるお薦め文庫フェアを開催中だそうです。
フリペを一つのお店の複数の有志で作っているところは多々ありますが、異なる店舗の人が協働で作っているのは珍しいのではないでしょうか? なにせ店がそれほど近いわけでもなければ、お互いの休みだって重なっているわけではありません。編集作業には困難がつきまとうはずです。やはりインターネットやケータイが普及した現在なればこそ、でしょうか?
それにしても、新刊が入ってきてそれをチェックして書棚に並べる、その結果棚に置けなくなった本を抜き取る(どれを抜くかもかなり神経を使う仕事のはず)、抜き取った本を出版社に戻すための返品作業(箱詰めも)、郵便やファクスで届く注文書や新刊案内を見て必要な書籍を発注する......。客商売の書店とは言え、お客様とは向き合わないこれだけの仕事があります。
これに接客(クレーム処理も含め)、レジ当番、棚の整理があり、その合間には出版社の営業がやってくるのでその応対もしなければならないわけですから、あたしが言うまでもなく書店の人はとても忙しいです。(このあたり、『書店ガール
そういう忙しい合間を縫って、これらのフリーペーパーを作っているわけですよね、書店員さんたちは。本当に頭が下がります。
書店の業務という面から言えば、別にやらなくてもよい仕事です。勝手に自分たちでやっていると言われても、一面では確かにその通りです。でも、こんなに面白い本があるんだ、是非読んでもらいたい、という気持ちをお客様に伝えようとするのは、書店としては最も基本的な仕事でもあります。
出版社の人間としては、例えば書誌情報を提供するとか、著者のコメントなどの橋渡しをするとか、こちらで手伝えることがあれば、役に立てるものを提供できるのであれば、できる限り協力したいと思います。やっぱり、お店の人が忙しくても楽しく仕事をしていると、その気持ちって書棚の表情にも表われるだろうし、お客様にも伝わると思うのですよね。
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