2012年10月 4日

誇りと自惚れ

一部で話題になって売れている新刊『レストラン・サービスの哲学』ですが、この本で初めてメートル・ドテッルという言葉を知った方も多いのではないいでしょうか? かく言う、あたしもその一人です。



中身を読んだわけではないので、軽々しく言えませんが、ふとタイトルや帯の文章、それに本文もちょこっとだけを読んで思いました。

この本は、レストランと付くものの、つまりはサービスの本です。サービスとは何たるか、それを述べた本だと推察いたします。サービスと言えばお客様第一、常に謙譲の美徳を忘れてはならない、そんな風に思います。奥ゆかしさ、謙虚さ、そんなものをイメージします。

ところが、そういうものを本に書いて出版するという行為が、上に書いた謙虚さと、どうもしっくりこない気がするのです。もちろん、この本の著者が「どうだ、俺様は毎日のように一流のサービスを行なっているんだぞ」と居丈高に自分のスタイルを語っている本ではありません。そんなことは百も承知ですし、そんな内容の本だったら決して出版なんかしません。

でも、やっぱりなんかしっくりこないところを感じていて自分なりに少し考えていて、ようやく気づきました。

あたしが上に述べた「居丈高」な態度というのは「自惚れ」であり、この本の著者が持っているのは、そして本書で語っているのは「誇り」なんだと。

そう言えば、ひところ「帝国ホテル」を冠した本が出版されましたね。帝国ホテルのおもてなしを披瀝した本だと記憶しています。

 

これらも、「どうだ、帝国ホテルだぞ、お前ら庶民とは格が違うんだ」なんて上から目線で書かれている本ではなかったはずです。むしろ格式が高ければ高いほどへりくだって下から目線になっている、そんな本だと思います。そして、それこそが誇りなのかなあ、そんな風に思います。

ついでながら、哲学シリーズ(?)では、こんなのもあります。


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