2012年9月14日

現在進行形

来週火曜日に配本予定の新刊『北朝鮮 14号管理所からの脱出』読了しました。



facebookに二回ほど感想を書きましたので、今回は最後の最後、訳者あとがきから以下の文章を引用したいと思います。とある記者会見におけるシン・ドンヒョクの発言です。
私は自分が有名になるためにこの本に協力し、こういう場所で話をするのではありません。北朝鮮にこのようんば収容所があることをみなさんに知ってもらいたいのです。私の仕事は、今このときも虐待され死を待つだけの二〇万人が北朝鮮の収容所にいるということを世界に知ってもらうことなのです。これまでにナチスの強制収容所、ユーゴスラヴィア紛争での虐殺などがジャーナリストによって報じられてきました。しかし、すべては悲劇が終了したあとでした。あんなにたくさんの人々の命が失われてしまったあとでそれを知って何の役に立つでしょう? 北朝鮮の強制収容所は、現在も進行中の悲劇なのです。
まさしく、この本の日本語版を出版する意義も、この文章に凝縮されていると思います。

北朝鮮の内部を暴露したり描いたりしたノンフィクション、あるいは脱北者の手記は多数出版されていますが、本書がそういう数ある本の中に埋もれてしまわず、しっかり読者の手に届いてほしいと思います。

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