2012年8月27日

単行本なら

紀伊國屋書店新宿本店で、書き出しの文章だけを見せて本を売るフェアが人気だそうです。

面白い試みですね。確かに作家が心血を注ぐ一行目。それで勝負が決するのかも知れませんから、そこに注目したのはフェア企画者の頭のよさだと思います。

ただ、この企画って、やはり文庫本だからこそ成り立つ企画だと思うのです。とりあえず面白そうな書き出しだから買ってみるかと思ったときに、最近は高いものも増えてきたとはいえ、数百円の文庫であれば、「ああ、失敗した」と思っても、「まあいいか」と納得することができます。

これが千円以上、二千円近く(あるいは二千円以上?)する単行本だったら、こんな企画はまず成立しないでしょう。お客さんが買ってくれるとは思いません。そういう意味でも、文庫だから成立すると読んで企画したところに「知恵」を感じます。

なら、単行本ならどんなことができる? と問われても......

最初の一行目で読む気をなくするような小説ばかりを集めてみる、とか? 例えば、白水社の『ブエノスアイレス食堂』なんて、そういう作品だと思います。

あるいはカバーに犯人の名前を書いておく、ミステリー作品のフェアとか、逆説的で面白いのではないかと思いますが......

ちなみにあたしは、ほとんどミステリーって読みませんが、テレビの謎解きものでも、犯人があらかじめわかっていても何とも思いません。スポーツの中継も録画の場合、先に結果がわかっていてもどうということもなく楽しんでみることができます。

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