2012年7月24日

好きだと言われたら......

文庫になった『サムシングブルー』読了。

まあ、たいていの人は自分の高校時代、学生時代を思い出すでしょうね、この小説を読んだら。よい想い出か、嫌な思い出かは、人それぞれでしょうけど(爆)。

飛鳥井千砂さんの作品は、かつて『君は素知らぬ顔で』を読んだことがあります。丁寧に登場人物を描いている作家さんだなあという記憶があります。ただ本書の場合、主人公が面倒くさいタイプになってしまっている気がしますが、失恋した直後に元カレが元親友と結婚すると聞いたら、だれだってこんなふうになってしまうのでしょうか? それに27歳という年齢は、やはり「そろそろ結婚?」という年齢になるのでしょうね、女性の場合。

この小説を読みながら、昔のクラスメートとの再会というシチュエーションを自分なりに想像してみましたけど、高校卒業から三十年弱、いまさら逢おうよという気分にもなりませんし、甘酸っぱい想い出も何もありません。そもそも、この主人公のように自分が声をかけられるかということからして大いに疑問です。現に卒業後、誰からも連絡がありませんから。

ですから、クラスメート同士が結婚したという例があるのか否か、そんなことすらわかりません。第一、あたしのように恋人イナイ歴=年齢の人間には、元カレ・元カノといった存在があり得ませんから、本書の主人公のような立場に置かれるなんてあり得ません。これはこれで幸せなことかも知れませんね。

それはそうと、この作品の中で「確かに、よっぽど嫌いな相手でない限り、好きだと言われたら嬉しいものだ。」(P.135)というセリフがあります。

本当にそうなんだろうか、そうなんだろうなあ、と思うのですが、あたしはたぶん「よっぽど嫌いな相手」になってしまう可能性が高いなあ、と漠然と思います。だから誰かに好きだなんて言いませんし、言ったこともありません。

読んだ感想を書く