2012年4月26日

出版は文化ではない?

本日オープンの渋谷ヒカリエ

久々の東京都心の大型商業施設であるにもかかわらず、その中に書店がないというのは、出版業界人の中ではちょっとした話題でもあります。実際には、コンセプトショップ的な書店が入っているわけではありますが、いわゆる紀伊國屋書店、ジュンク堂書店と言った大型書店や、よく目にするくまざわ書店、文教堂といったチェーンも何も入らないというのは、ちょっとした衝撃でもあります。

このあたりのことは、先日の「新文化」に載っていまして、坪売り上げが、たとえば家電量販店などと比べた場合、書店は数十分の一のようです。たぶん、エルメスとかシャネルなどのブランドショップと比べたら更に悲劇的な現状なのでしょう。

このヒカリエは、新しい渋谷の文化の発信基地になるというコンセプトのようですが、そういうコンセプトを持った施設なのに、さんざん「出版は文化だ」と豪語していた出版界として、書店がそこへ入れてもらえなかったのは、やはり業界全体の地盤沈下を象徴しているのでしょう。

つまり、われわれ業界の人間がどう言おうと、世間からは「出版は文化ではない」と見なされている、少なくとも未来へ向かう、創造的な業界とは思われていないということなのでしょう。

まあ、それも仕方ないか、という気もしますけど。

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