2012年2月23日

新宿ルネサンス

東京に住んでいないと知らないと思いますが、いや、東京に住んでいてもしばしば新宿へ来ている人でないとやはり知らないのでしょうが、ただいま紀伊國屋書店新宿本店の一階が閉まっています。本店のフロア構成大リニューアルのためです。

押しも押されぬ日本一の書店(出版社やジャンルによっては日本一ではないかも?)の、通りに面した一階店舗が閉店しているなんて、2階から上にも売り場があるからいいようなものの、かなり思い切ったリニューアル工事だと思います。

ただ、先日そのリニューアルに関する出版社向け説明会があって参加してきたのですが、その席で紀伊國屋書店の方が言ってました。なんでも新宿地区というのは老朽化した建物が多く、あと10年もすれば街の様子が様変わりするだろうとのことです。確かに、新しいビルがどんどん建っているという印象もある反面、紀伊國屋だけでなく、東口では伊勢丹や三越などの百貨店、西口では小田急、京王といったデパートは、中はともかく建物はかなり年季の入ったものですよね。耐震的には建て替えないとならない時期に来ているのでしょう。紀伊國屋書店のはす向かい、中村屋が建て替え工事に入ったのはつい先日のことですし、紀伊國屋書店も本当ならすべて取り壊して建て替えたいというのが本音ではないでしょうか?

既存のビルが壊されて新しいビルが建つ場合、もとのテナントがそのまま復活するとは限りません。小田急百貨店が建て替えられたら高島屋になっていたなんてことはないでしょうけど、テナントビルの場合は、中に出店していたほとんどのお店が入れ替わることになると思います。三越あるコットのように、建て替えではなくとも大家が変われば、たなごであるテナントも変わってしまう可能性は大です。というよりも、ほぼ間違いなく変わるでしょう。

東口、西口がそのように変わる可能性があり、具体的にどのビルが建て替えになるとか、そういう情報を持っているわけではありませんが、JR新宿駅の工事とともに人の流れも変わる可能性が大いにあります。そして、誰もが気づく南口の工事もこの一、二年で形が見えてきそうです。JRとしては南口に一番力を入れているようですね。

そこで気になるのは、新宿の書店事情です。

まずは既に誰もが知っているジュンク堂書店新宿店の閉店です。紀伊國屋書店としてはこれまでジュンクに取られていた分を奪いたいと考えていることでしょう。ブックファーストは西口ですので、これまでもジュンク堂へ来るお客とそれほどかぶっていなかったのではないかと予想されますが、それでも「紀伊國屋にはない魅力で勝負」と思い、東口のジュンク堂へ行っていたお客を少しでも奪おうと考えているのではないかと思います。

当面、そういった構図になりそうですが、上にも書いた南口の駅ビルには書店は入らないのでしょうか? いや、テナント募集があったとしても家賃が高そうな気がしますし、目の前に紀伊國屋の新宿南店があるわけですから、現在のジュンク堂新宿店と紀伊國屋本店の関係を彷彿とさせます。もちろん、現時点では南口の駅ビルにどんなテナントが入るのか全くわかりませんので、書店が入るかどうかもわかりませんが......

ところで、ジュンク堂書店が閉店してしまうわけですが、これまで新宿って書店が多すぎたのでしょうか? 書店と言うよりは坪数で言った方がよいのかも知れませんが、どうなのでしょう? ただ出版社によって差はあると思いますが、紀伊國屋の二店舗、ジュンク堂、ブックファースト、これら新宿に立地する大型書店はどこも出版社の売り上げ上位店だと思います。これだけの規模の書店が競合していて、どれもがそれなりの売り上げを上げているわけですから、新宿という街の巨大さがわかるというものです。

上述の説明会で紀伊國屋の方は「ジュンク堂が閉店しても、そのお客を新宿から逃がさない」と言っていました。そのためのリニューアルでもあるのだとか。その意気込みやよし、ですけど、そもそも新宿という街の適性総坪数ってどのくらいなのでしょうか? あたしはジュンク堂が存在する状態でも、まだ若干売り上げを伸ばす余地は残っていると思っているのですが......

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