2012年2月 3日

西方は極楽浄土?

久々に東京の西郊、八王子まで営業してきました。

JR八王子駅直結の百貨店、そごうが先月末で閉店し、ただ、同じ建物でもそごうではなくナウの方は閉店していないので、そこに入っている有隣堂は営業中です。こういう言い方は有隣堂に失礼かも知れませんが、有隣堂がどんなに頑張っても、この状況では売り上げが落ちるのはやむを得ないでしょうね。問題は何割減で済ますことができるかだと思います。

この状況は、大阪の天満橋の松坂屋が閉店した後のジュンク堂書店が思い出されます。あの時も、現在のシティモールが全面オープンするまではジュンク堂はしんどかったと思います。八王子の有隣堂もそごうの後釜、JR系のお店はこの秋オープンだということですので、それまでは雌伏の時でしょう。

ただ、今回、くまざわ書店にも行ってみて感じるのは、この数年来同じことではありますが、八王子という町自体の地盤沈下です。ニュースでは多摩地区一の人口を擁すなどと報道されますが、地図を見ればわかるように八王子市は相当広く、交通機関も複数あり、多摩一の人口のすべてがJR八王子駅を利用しているわけではありません。確かにJRと京王の八王子駅はあの地域の一大バスターミナルであり、かなり広い範囲から両駅へ集まってくる人もいるわけですが、それでも八王子の人口の一部でしょう。

あたしが子供の頃、ご多分に漏れずあたしも電車好きな子供で、時刻表を眺めるのが大好きでしたが、その当時の中央本線の特急、今のように「かいじ」などはなく、「あずさ」のみでしたが、新宿を発すると八王子に停まり、その次は大月、甲府という停車駅が多かったと記憶しています(高尾以西はうろ覚えです)。

つまり、東京の西の玄関口、西地域を代表する都市、ターミナルは間違いなく八王子だったのです。当時、23区内に住んでいたあたしは、まず吉祥寺以西に行くことはなかったので、その頃の立川や八王子の様子はわかりません。昔からの慣例で立川は通過、八王子は停車というJR、否、国鉄の方針だっただけかも知れません。いつの間にか「かいじ」などの特急が走り、立川はおろか、三鷹や国分寺などにも停まるようになってしまいました。

特急のくせにそんなに停車するなよ!

これが偽らざる気持ちですが、それはさておき、八王子はこの二十年から三十年で完全に東京西地区ナンバーワンの座を滑り落ちてしまったのですね。かつては山梨の方が「東京へ買い物へ行く」と言ったら、それは「八王子へ行く」ことだったそうです。たぶん八王子のそごうへ行っていたのでしょう。それが今では「立川の高島屋、伊勢丹へ行く」という意味に変わっているようです。

こんな状況では、八王子の書店がいくら頑張っても蟷螂の斧です。そこへもってきてそごうの閉店がとどめを刺したのかも知れません。南口は再開発が著しいですが、八王子は書店という狭い支店ではなく、商店界全体で盛り上げる算段をしないと復活は厳しいのではないでしょうか?

さまざまな外的要因が異なるので、簡単な比較はできませんし、真似もできないでしょうが、かつて西の八王子を悔しい思いで眺めていた立川が、どんな工夫をして今の状況を作り上げたのか、それが八王子再生のヒントになるのでは? あるいは吉祥寺というターミナルを隣に持ちながら、独自の輝きを放ち続ける西荻窪を見倣うとか?



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