2012年1月28日

スクリーン数減少と書店

新聞に映画館のスクリーン数が昨年は18年ぶりに減少したとありました。東日本大震災の被災による減少もあるようですが、映画のデジタル化の流れに対応できず、多額の設備投資ができないのでやむなく閉館という映画館もあるようです。

この何年も、シネコンと呼ばれる映画館が増えてきて、郊外のショッピングモールでもシネコンを併設しているところが目立ちます。そういったモールにはしばしば書店も比較的大きな規模で出店していることが多いので営業で行くこともあります。たいてい映画館と書店って近くにありますね(笑)。

そういう時にふと思います。確かに、こちらが訪問するのは平日の昼間がほとんどなわけで、土日の集客が売り上げの大部分を占めると言われるモールではもっとも空いている時間帯なのかもしれません。でも、これだけ大規模な施設を作っておいて、いくら平日の昼間だからといってこんなに閑散としていていいのだろうか、と思うようなところもかなり目につきます。

当然、書店も売り上げが伸び悩んでいるわけで、シネコンだって客がほとんど入っていないのに上映しているところもあるでしょう。作るときは半径何キロ圏に人口は数十万、これだけの集客が見込まれますなんて煽っておいて、蓋を開けたらこの有り様。

郊外のモールですと車で行くことを前提としている立地ですから、書店があってもそうたびたび行けるわけではありません。年に数度も行けばよい方でしょう。まして売り上げが上がらないと来れば、自然と営業の足も遠のいてしまいます(それではいけないと頭ではわかっていても)。

書店はそれでも辛抱強くやっているところがほとんどなのですが、訪れるたびに周囲のお店が変わっているモールも多々あります。いつ行っても「リニューアルオープン」とか「新規オープン」といった看板が目立ち、どこかしらで工事が行なわれていまるのですが、つまりテナントが儲からないからすぐに出て行ってしまうのでしょう。そういう状況を見ると、書店が苦しいのも理解できます。シネコンも同じでしょう。スクリーン数が減るのも当然だと思います。

ああいう業界の人って、こう言ってはなんですが、あたしたち出版業界などよりははるかに緻密なマーケットリサーチをしているのではないでしょうか? 少なくともそういうイメージがありましたが、閑古鳥の鳴くショッピングモールを見ていると、なんていい加減な仕事をしているのかと思わずにはいられません。

ところでニュースではよくわかりませんでしたけど、スクリーン数減少というのは閉館したシネコンが多いのか、それとも町の小さな映画館が廃業しているのか、どっちなのでしょう?

町の映画館の廃業と聞くと、小さいけれど老舗の書店の廃業とダブって見えてしまいます。シネコンの閉鎖であれば、上に書いたように、デベロッパーの口車に乗ってショッピングモールに数百坪の大型店を出店したけれど、という書店の憾み節が聞こえてきそうです。

いずれにせよ、いろいろな面で映画館と書店、重なって見えます。どちらも偉そうに文化や芸術を謳っているところも似ていますし......

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