2012年1月22日

街の本屋さんは......

今朝の朝日新聞の社説ページ下欄のコラム、ニューヨーク支局長のリポートでしたが、話題はある街の本屋の話。

その街の本屋が廃業してしまった後、住民がやはり本屋がないと困ると言って支援の輪を広げ本屋を復活させたという内容でした。

個人的には感動的な話だと思いますが、果たしてどこまでそれが続くのか。最初に声を上げ、運動を始めた人たちの時代はいいとして、そういう人たちが一線を退いたらどうなるのでしょうか? 子供の世代、孫の世代と支援の輪は繋がっていくのでしょうか?

もちろん、本屋に対する意識が劇的に変わり、リアル書店がネット書店に十分対抗できるような状況になっている可能性もなくはないでしょうけど、果たしてどうなるのでしょうか?

大型スーパーが出店し、昔からあった商店街が寂れたといって、その街の人が商店街を復活させるような運動をしたでしょうか? 商店街と言ってしまえば大きすぎますから、例えば花屋とか八百屋とか、街に唯一あったお店がなくなったら、やはり支援の手を差し伸べたのでしょうか?

本屋の主人は、自分の売っている本よりもネット書店の本の方が値段が安いことに愕然としたとコラムにはありましたが、日本は今のところ再販制で値段については同一となっています。ただ、アマゾンなら中古品が安く買えます(逆に、絶版本だと高い場合もありますが)。また、地方在住の人は街の書店まで行く交通費を考えると送料を負担してもネット書店の方が安いという現実があります。その送料も最近はほとんどサービスされるようになってますから、ますますネットが有利です。

本はネットで画面を見て選ぶものではなく、ぼんやりと書棚を眺めて手に取って、そして選ぶもの、という感覚をあたしなどは持っています。たぶん、アメリカの事例は、そういう感覚をその街の人たちも持っていて、それがかけがえのないものだということに気づいたからこその動きでしょう。

客観的に見て、それが本当にかけがえのないものなのか、あたしには判断できませんが、とにかくこのコラムの書店が5年後にどうなっているのか、そこに興味があります。

ただ、個人的には、「本屋は特別な存在なんだ」という前提、いわゆる「出版は文化だ」といった考え方って、どうも鼻持ちならない気がしてしまいます。

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