2011年12月 3日

今回のイチ押し

昨日の仕事帰りに、東京国立博物館で行なわれている「法然と親鸞」展を見に行ってきました。もうじき会期も終了ということで、夕方ではありましたが多少の混雑でした。ただ、この手の展覧会の常で、年配の方、最初のうちは熱心に見ていますが、じきに疲れてくるのか、椅子に座り込んで熱心に見る意欲が萎えてしまっているようでした。

さて、法然と親鸞。法然と言うと、あまりさえない風貌の肖像画を思い出しますし、親鸞と言えば、逆に容貌魁偉な独特の肖像画を思い出します。

ちょうど通勤読書で、岩波文庫の『日本倫理思想史(二)』の中の、法然と親鸞、栄西と道元の部分を読んでいたのですが、法然はとにかくひたすら念仏を唱えることを主張し、いわゆる会派的なものを作ることを禁じていたようです。それなのに弟子の親鸞が後に一大勢力となる本願寺派を作っていくことになろうとは、なんとも皮肉なものです。

また『日本倫理思想史(二)』では、この時代における念仏宗、禅宗の勃興は、旧来の日本仏教に対する不満が理由の第一に挙げられますが、当時勢力を伸ばしてきた武士階級の台頭も影響していたとのことです。

法然と親鸞の展覧会ですから、それ中心の信仰の有り様を展示する今回の展覧会はそれはそれで面白かったのですが、法然と栄西、親鸞と道元という、それぞれ同時代の二人をさらに対照させても面白かったでしょうし、そこに武士階級の台頭という時代の大きな流れを絡めてもよかったのではないかと思います。

しかし、時代的には武士の勃興ですから、来年の大河ドラマ「平清盛」の時代とも重なるのですよね。せっかくこの時季の展覧会なのですから、そういう目配りがあってもよかったのかも知れない、という気もしました。

さて、今回の展示物。個人的に一番感動したのは、NO.153、阿弥陀如来立像知恩寺蔵←知恩院ではないので注意!)です。とにかく美しかったです。心が洗われました。他にも、いかにもメインですというように陳列されている仏像は多々ありましたが、あたしにはこちらが群を抜いていました。もちろん、会期中の展示替えで、あたしが見ていない作品もたくさんあったわけですから、あくまで昨日の展示品の中ではという但し書きが付きますが。

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