2011年12月 1日

キーワードは「幸福」

とうとう12月です。今年もなんの佳きこともなく一年が終わりそうです。もちろん悪しきこともなかったので、ここ十数年来変わらない、いつもどおりの一年が過ぎゆくだけですが。

さて、12月になったので、11月の売上良好書などを作っていましたら、『幸福立国ブータン』『幸福論』の両書がランクインしていました。

 

前者は言わずもがな。国王夫妻の来日が連日テレビ・新聞で大きく取り上げられ、帰国後も週刊誌がさらに記事を載せています。ブータン関連本は他社からも出ていますが、あたしの勤務先の本は比較的出版が新しく、また著者が何回かテレビのインタビューで登場してたりもして、一気に売り上げが伸びました。

後者はNHKの番組から火が付きました。一ヶ月にわたって一つの作品を取り上げる教養番組「100分 de 名著」の11月が、このアランの幸福論でした。他社からも文庫が出ていますが、文庫では小さくても読みづらい、単行本でもって歩くのが面倒、という両者の中間に位置する新書版のUブックスが、思いのほか好評を博しました。もちろん、数ある翻訳の中でもあたしの勤務先のものが一番という定評もありました。

この2作品を見て思うのはどちらもタイトルに「幸福」が入っていることです。震災後の現在、やはりこういうタイトルの本に惹かれるものなのでしょうか? 朝日新聞で取り上げていただいた文庫クセジュの『喪の悲しみ』もスマッシュヒットでしたから、今年の売れ筋のキーワードとして、絆、癒やし、幸せなどは欠かせないのかも知れません。

しかし、こういった本を営業しているあたし自身が果たして幸せなのだろうかと、ついつい考えてしまいます。

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