2011年11月15日

魔都上海に生きた女間諜

魔都上海に生きた女間諜』読了。

著者が学者、研究者ではないため、だからこそわかりやすくまとめられていると思います。

鄭蘋如については、テレビのドキュメンタリーで見たことがあり、名前などは知っていましたが、川島喜子に比べるとやはり日本での知名度はかなり落ちますし、実際にスパイとしてやったこと、できたことはそれほどのことでもないという印象です。本書を読んでもそれは変わりません。

ですから、本書は彼女の伝記・評伝としてではなく、当時の上海における謀略戦の略史として読んだ方がよいのではないでしょうか。

それにしても、その謀略戦の最前線にいた日本人が、中国を理解しているが故に日中戦争の無謀さを自覚していたというのは皮肉なものですし、そういう情報や知見が生かされなかった当時の軍部や日本政府の構造というものは、今から見ても歴史の鑑になると感じます。

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