2011年11月 8日

ジョブズ伝と書店の努力

相変わらずスティーブ・ジョブズの伝記が売れているようですが、ふと思います。

こういうふうに、一種のブームに乗って売れる本に、書店員の力はどのくらい影響しているのだろうか、ということです。

書店員の方々が、日々売り場の構成、本の並べ方に心を砕き、少しでも売れるように工夫と努力を重ねていることは知っています。時には手作りのポップを飾り、また時には意表を突くようなコーナーに置いてみたり。それによってさほど目立った動きのなかった本が売れはじめ、他のお店にも波及し、売り上げを伸ばしたという事例にも事欠きません。

ただ、そういう努力で売れると言っても、どうでしょう、せいぜいが数部から数十部の上乗せがやっとではないでしょうか? もちろん、一人の書店員の努力で一店で数百を売り上げることもありますが、それがその売れ方のレベルのまま他の書店にまで波及することは少ないものです。

その一方で、村上春樹の『1Q84』、マイケル・サンデル、そして今回のジョブズなど、そんなささやかな書店員の日々の努力など嘲笑うかのように売れてしまう本があります。もちろん、これだって何部仕入れるか、お店のどこで展開するか、そういった工夫によって売り上げが数十部から数百部単位で変わってしまうものかも知れません。

でも、それでも、何とかしてこの本を10冊売りたい、と小さな出版社の良書の販売に努力するのに比べ、ジョブズ伝のような本は置いておけばあっという間に売れていってしまうのではないでしょうか?(←そんなに簡単なものではないぞ、というお叱りの声が聞こえますが・・・・・・)

となると、結局は本自身が持っている力の差なのでしょうか? そして話題作りや宣伝などに大金を注ぎ込める出版社の資金力の差でもあるのでしょうか?

こういう怪物が出現すると、あたしは、ふと考えてしまいます。

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