2011年10月24日

なんとなく・・・

相変わらず、毎週どこかしらの書評に、何らかの本を取り上げてもらっています。

嬉しいことです。ありがたいことです。

たぶん、これで4か月か、5か月くらいずっとではないでしょうか。

他の出版社の方から見たら羨ましい限りだと思います。

でも、この数ヶ月、なんか売れ行きが芳しくない気がします。

売れていないわけではないんです。

書評に取り上げられているわけですから、補充注文も客注も、電話やファクスで届きます。取次からも来ます。

なのに、かつてのように、「ガンガン売れてるぜ!」という空気が薄い気がします。

書評の神通力がなくなった、落ちているのでしょうか?

それは確かに昔よりは落ちていると書店員さんは口を揃えておっしゃいます。でも、出ないよりは出た方が遙かに本は売れます。重版になることもしばしばです。

何が違うのかと言われると、やはり震災以来の不景気がとうとう現実感を持って襲ってきたという感じです。

震災直後から数ヶ月は、こういう言い方は不謹慎かも知れませんが、ある種「震災ハイ」のような状態に日本全体が覆われていたと思います。これだけの災害に遭ったんだから、国民全員が等しく苦労も困難も分かち合おうということでしょう。ナチュラル・ハイの一種だったのかも知れません。

でも、それも半年が過ぎ、そろそろ冷静になって自分の状況を見てみると、仕事もなければ家もない、国や県、市町村の援助もそろそろ打ち切り。ボランティアも、半年前はあんなにいたのに、いまじゃ誰も来てくれない・・・・・・。いや、ボランティアなんかいらないから、自分に仕事をくれ、というのが本音ではないでしょうか。

そして、日本中が震災で忘れていた不景気を思い出したのが、この数ヶ月なのではないか、という気がします。

震災前の日本は景気が悪かったです、特に出版界は。それがこんな震災に遭ったのでは、ますます悪くなるのは当たり前です。それが一時的に震災という大災害のために麻痺していた、忘れていただけ、むしろ震災のせいでますます悪くなって再び立ち現われたのが最近の様子なのではないでしょうか?

だから、なんとなくの不景気感って、出版界だけでなく、どこの業界でもそんなふうに感じられるのではないでしょうか。

それとも、あたし自身の個人的な気分の問題なのでしょうか? 特にこの一年、あたし、なんのよいこともなかったから、いい加減、楽天的な精神も折れかかっているのかもしれません。

そう言えば、最近、iPodでも、暗くて寂しい曲ばかり聴いている気がします。

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