2011年10月14日

三人衆

立川のオリオン書房ノルテ店へ、平岡あみという現役女子高生歌人のトークイベントを聞きにいったのは一年半ほど前になるでしょうか? 彼女の歌集に挿画を描いたのが、あの宇野亜喜良氏、そして解説が穂村弘氏という三人での鼎談イベントでした。

穂村さんが盛んに「神様は不公平だ」とぼやくのもわかるような、恵まれた歌集から時が流れ、同じ三人でのコラボ歌集が先頃発売になり、今回は新宿のジュンク堂書店での鼎談でした。前回は、あみちゃんがあまりしゃべらなかったような記憶がありますが、今回もやはりトークの中心は宇野さんと、穂村さん。でも、前回よりは亜美ちゃんの声は聞けたかな、という気がします。

  

ちなみに、この歌集の編集をされた方、版元社長、さらにはあみちゃんのお母さんまで客席に揃っているという和やかイベントでした。(オリオンの時にもお母さんはいらっしゃっていたのでしょうか?)

さて、トークの中から印象に残った言葉をいくつか拾ってみます。

まずは穂村さんの感想ですが、宇野さんのイラストの女の子とあみちゃんの歌の世界が似ている、通じるものがあるということです。確かに、ちょっと孤独感を漂わせて、一人ポツンとしている感じは相通じるものを感じます。

それを受けて、宇野さんはご自身の女性観について、「にっこり笑われると怖い」とおっしゃっていました。これはなかなか面白い意見だと思いますが、確かに宇野さんの描くイラストの少女たちはみな笑っていません。だからといって怒っている感じでもなく、あえて言えば諦念という言葉に愛そうな少女たちです。

そんな孤独感を歌に載せているあみちゃんですが、穂村さんは「両親と友達にならざるを得なかった少女」と評しておりました。言い得て妙、という気もする反面、あたしはそこまで彼女のことを知っているわけではないので、この評の妥当性についてはなんとも言えません。

それにしても、平気な顔で「恋人はいる」と言い、客席でお母さんが応援してくれているあみちゃん。とても孤独とは思えません。いや、どんなに大勢の人に囲まれていても孤独を感じるときは感じるものだとも言います。その意見、あたしもよくわかりますが、本当に孤独な人は大勢の人に囲まれることすらないのではないでしょうか?

そういう意味で、あみちゃんの孤独の叫びが届くのは、少なくともあくまでこの歌集を手に取る程度には社会との繋がりを維持できている人でしょう。そんな繋がりすら持ててない、真性の孤独者には、こんな歌集の存在も、ましてや平岡あみという個性すら、全く縁のない存在なのでしょう。

そんなことより、次は穂村さんの歌集に、あみちゃんの解説を載せてもらいたいものです。





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