2011年10月 8日

古書の買い取り

昨日までの研修旅行。見学したフタバ図書では読み終わった本の買い取りを行なっていました。

フタバ図書さんは、このところ買い入れにも積極的で、本の購入レジとは別に買い取りコーナーを設けた店舗が増えています。

ちなみに、ウェブサイトの本の「おすすめ情報」では、新刊『14歳のアウシュヴィッツ』を取り上げていただいております。

閑話休題。

買い取った本は、当然フタバ図書さんの店舗で販売されるわけですが、今回訪問した福岡地区では、実際に訪れた福岡東店では販売はしておらず、天神にある店舗で販売しているそうです。

さてさて、本の買い取りと言いますと、BOOK-OFFのような最近はやりの新古書店をイメージして、出版界や書店界からは悪者のように思われがちです。それなのに、新刊書店が買い取りや販売をみずからやってどうするの、という非難も聞こえてきそうです。

あたしも最初はそういう気持ちを多少は持っていました。でも、最近ちょっと考えが変わってきました。

恐らく、フタバ図書の買い取りにしても扱われている本の大半は、お客さんが新刊書店で買って、読み終わって要らなくなったから売りに来た、という本でしょう。新刊書点でも並んでいるしきれいなものが変えるような本ばかりだと思います。きれいな本がよければ新刊書店で、少しでも安く買いたかったら古書コーナーで、ということになると思います。

ただ、最近の出版界、不景気のせいで初版部数は極端に少なくなっています。そして重版できるような本はさらに少ないのが現状です。つまり、ある本が売りに出されたら、目についたときに買っておかないと二度と手に入らない、という可能性が極めて高くなっているのです。

そうなると、名著と言われているのに、実際の売れ行きは地味だから市場から姿を消してしまった本、定番中の定番なのにもう新刊では入手不可能な本がいっぱいあります。

でも、もしかすると、そんな本が中古部門でなら手に入るかも知れません。

こういう喩えはちょっと不謹慎かも知れませんが、いま新潮社のクレスト・ブックスや講談社の文芸文庫で、創刊以来の全点フェアを企画しても本が揃いません。白水社のUブックスや文庫クセジュだって同じです。欠けたまま重版もできなくなっている書目、品切れ本、絶版本がたくさんあるのです。

で、都合よく売りに来た人がいるとか、在庫があるとは限りませんが、可能性として、フタバ図書さんが店舗で買い取った本も使って上記のような全点フェアを開こうとしたら、もしかしたら開けるかも知れません。ジュンク堂書店や紀伊國屋書店に行っても揃わなかった全集が、フタバ図書の新刊コーナーと中古品コーナーをはしごしたら揃う可能性もあるのではないでしょうか。

最近、ちょっとこういう可能性についても考え始めたので、一概に買い取りは悪だ、といった感覚はなくなってきました。でもこっれてつまり、言ってみれば新古書店が神保町化するってことでしょうかね?

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