2011年5月12日

泣きたいときは思いきり泣こう

父が亡くなってから、といってももう十数年になりますが、めっきり涙もろくなりました。歳のせいかもしれませんが、やはり肉親を失うということは、口先でどんなに強がってみても、心のどこかにずっしりと重い影響を与えるものなのかも知れません。

さて、あたしの勤務先の新刊『もうすぐ夏至だ』は、著者・永田和宏さんが亡き妻・河野裕子さんとの思い出を綴ったエッセイです。女々しいと思いたければそう思ってくださっても結構です。でも、かけがえのない伴侶を失うということがどんなに辛いことか・・・・・・

そう言えば、『そうか、もう君はいないのか』もベストセラーになりましたが、これもやはり妻を亡くした夫の著書ですよね。実は探してみると、この手の本って意外とあるみたいです。『源氏物語』だって、葵上を失った源氏の女々しさは、これが稀代のプレーボーイのなれの果てかと思わんばかりですし、日本にはそういう文化の伝統があるのかも知れません。(海外はどうでしょう? 誰かご教示を!)

再び言いますが、女々しい男の未練タラタラの文学というジャンルが十分成立しそうな感じです。『君に書かずにはいられない』なども「女々しい文学」に加えるとすれば、もっと本が集められそうです。ネットで検索してみてくださいませ。

その逆に、夫に先立たれた妻の文学としては、『澁澤龍彦との日々』や『ふたり旅』『淳之介さんのこと』などが数えられるでしょうか。女性だから女々しいという言い方は適当でないですし、男性に比べるともっとサッパリしたものを感じますが、気のせいでしょうか?

さてさて、元へ戻って『もうすぐ夏至だ』は、基本的には『家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日』『京都うた紀行』『河野裕子』などと一緒に並べていただくのが本道です。ほとんどの書店さんではそのように展開してくださっていると思います。でも、上に書いたような括りで並べてみるのも一つのやり方ではないかとも思います。

最初思いついたとき、自分でもちょっとふざけているかなと思いましたが、実は先の大震災で妻や夫をなくした人ってたくさんいると思います。そういう人がこの手の本を読むのは辛いかも知れません。でも、同じ境遇の人の言葉だから癒されるという面もあると思います。むしろ、こういう時だからこそ、こういうテーマで並べてみるのもよいのではないかな、そんな風に思い直すようになりました。

果たして、いかがでしょうか?

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