2011年5月10日

人文書をどう売るか

本日午後は、紀伊国屋書店さんと人文会による合同研修会。午後イチから夕刻までみっちりと、中身の濃いお勉強会でした。

どうやって店頭で人文書を展開すればよいのか、人文書はこうやって売って欲しい、といった書店側、出版社側のざっくばらんな本音のぶつけ合い、あたしのように人文科学に対して大した見識も知識も、もちろん一家言も持っていない者には、そして出版社の営業としてもまだまだ勉強不足で書店の売り上げにほぼ全く貢献できていないような者には、十二分に刺激的で、ためになる、ビンビンと啓発されたひとときでした。

研修会の中味に関する細かなことは割愛いたしますが、つまりはせっかくこういう機会も持てたわけですから、お互い遠慮なくわからないことは聞きましょうよ、というのがあたしなりの結論です。

出版社だって、あらゆる書店を知っているわけではありませんし、お邪魔しているわけではありません。その逆に書店の人もあらゆる出版社の人を知っているわけではないでしょう。大きな書店で出版社の人間がしょっちゅう顔を出しに来る書店もあれば、ほとんど営業なんて来やしないという書店もあるかと思います。でも、せっかくこういう機会があったわけですから、お互いにきっかけ作りには十分なったと思います。

双方の出席者が多かったので、今日、直接話ができた人、できなかった人がいるのは仕方ないでしょう。でも、「あの時ご一緒しましたね」という一言から話をスタートできるわけです。取っかかりが何もないわけではないのですから、もっと積極的に行きたいと思います。なにせ、お互い「本を売ろう」ということでは、同じ方角を見ている仲間なわけですから。

ところで、やはり本題に立ち返って、人文書をどう売るのか? 書店員的なハウツーは、あたしにはわかりません。ただ、本を作る側も売る側も、やはりその本のこと、ジャンルのこと、テーマのことを面白いなあと思わないとダメなんだろうなあ、と思います。

面白いと思って興味を抱けば、どんな本を読んだらよいか、誰に聞いたら(相談したら)よいか、おのずと開けてくるのではないでしょうか? って、つまり学生時代の勉強みたいです。やはり、その科目を好きにならないと成績も伸びません。なんか、それと似ているんじゃないかな、という気がしました。

だとすると、人文と言ってもジャンルは多岐にわたります、すべてでパーフェクトを求めるのではなく、何か一つ自分が一番興味を持てそうなところから始めるのがよいのではないでしょうか。

受験生時代、先生から「すべての教科の成績を上げようと思うな。まずは好きな教科を頑張りなさい。そうすれば自然と他の教科の成績もつられてよくなってくるから」と教えられました。もちろん、偏差値の極めて高い学校を受験するには、もっとテクニックが必要になりますが、普通に学校の授業レベルであれば、この言葉は真実です。

人文書にかかわらず、とりあえず一つ、自分がこれはと思うジャンルの棚作りに取り組んでいけば、いつのまにか他の周辺ジャンルの棚の品揃えもよくなってくるのではないでしょうか? いや、書店現場はそんな甘いものではないですか?

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