2011年5月 8日

郊外はどこ?

ゴールデンウィークも今日で終わりです。いや、明日以降も有給休暇を使って旅行中という人も大勢いるのかも知れません。が、一般的に言えば、今日でゴールデンウィークは終わりでしょう。

昨晩は、ジュンク堂書店池袋本店で鹿島茂さんと堀江敏幸さんのトークイベントを聞きに行ってきました。池袋へ来るのは久しぶりです。ジュンク堂でのトークイベントがあるときくらいしか来る用事もありませんからね。

  

  

さて、トークの内容はあたしの勤務先のウェブサイトでも詳しく触れるでしょうし、あたしは決してフランスに詳しくもないので、漠たる印象的なことしかかけませんが、堀江さんがパリへ初めて行って郊外へ足を踏み入れたときの違和感、とても興味深く思いました。たぶん、現在のパリは、堀江さんに限らず、誰が行ってももうそんな違和感を感じさせないようになっているのかもしれません。それが都市化なのか、進歩なのかはわかりませんが、逆に今なら、初めて訪れた頃のパリとは変わってしまっている違和感を感じたりできるのではないでしょうか。

鹿島さんが、その街を知りたいと思ったら泊まっているホテルの周囲、1キロから2キロくらいをとにかくほつき歩けばわかってくるとおっしゃったのは確かにその通りとうなずきつつ、この数年行ってない北京や上海では、どれくらいそれで楽しめる要素が残っているか不安になりました。

あたしが知っている、一番最後の北京や上海は、オリンピックや万博の前ですから、古い建物をどんどん壊し、きれいなビルが次々に建てられる、埃っぽい工事中の街でした。趣のある古い町並みが失われるのを寂しいと思うのは、そこに住んでいない旅人の自分勝手なノスタルジーかも知れませんが、それでもまだ取り残されたようなところがあちこちに残っていて、風情を感じることはできました。

でも、テレビ報道などで映る北京、上海を見るにつけ、裏路地の庶民の生活は健在なのだろうか、どこもかしこも同じような高層ビル、マンション、ホテルに変わっちゃって、北京らしさ上海らしさはどこに行ったんだろう、という気にさせられます。ただ、それでも実際に訪れれば、北京らしさ、上海らしさが残っているところは見つかるでしょうし、それを見つけるのが町歩きの愉しみでもあります。



「ここに、以前はおいしいマントー屋があったんだよ」とか、「この通りはもっと狭くて暗くて、でも落ち着いたたたずまいだったんだけど」といった会話しかできないかも知れませんが、それでも北京は、空を見上げればハト笛をつけた鳩が飛んでいるのでしょうか?

それにしても、一つだけ心残りなのは、あたしが初めて中国へ行ったとき、それは1988年の2月から3月の短気語学研修なのですが、もちろんその当時の北京は今とは全く景観も異なりますし、物価も何もかもが違うと言ってもいいくらいです。その当時の写真、かなり撮っていたのは、今となっては貴重な80年代の北京の記録と言えなくもないですが、その中で唯一撮っていない、撮っておけばよかったと今でも後悔している場所があります。

東風市場です。どこにあったのか(?)って。王府井です。今は新東安市場という巨大なデパートになっているところです。かつては東安市場と呼ばれていたようですが、あたしが行った頃は東風市場という名称でした。広い広い、大きな体育館みたいな建物の中に小さなお店、それこそ建物内ではありますが露天商と呼ぶのが相応しいようなお店が数え切れないくらい並んでいて、食料品から衣料、日用品まで何でも売っている場所でした。小さな食堂もありました。一部二階もありましたが、体育館自体は平屋だったと記憶しています。もちろんそこで買い物もしました。

上野のアメ横、吉祥寺のハーモニカ横丁的な庶民の活気を感じられる場所で、とても楽しかった記憶がありますが、数年後、次に北京へ行ったときには壊されて更地になっていました。数年後、そこが今の新東安市場という巨大なショッピングセンターに変わったわけですが、なんか味も素っ気もありませんね。地階に昔の東安市場を再現したようなところがありますが、所詮は再現したものでしかありませんし、最後に行った頃、この新東安市場も長安街にメンした東方広場に客を奪われて閑散としていたのを覚えています。

今となっては、向かいにある北京百貨店がややノスタルジックな北京を孤軍奮闘守っているという感じです。

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