2011年4月23日

多摩地区の書店は・・・・・・

篠突く雨とは今日の午前中のような雨のことを言うのでしょうか? 文学的な、雅な表現だなと思いつつ、実のところ正確な意味もわからずに使っていたりして・・・・・・(汗)

とにかく、今日は風も強く、雨もけっこうきつく降った東京でした。午後からは日差しがありつつも雨が降るという、世間で言うところの「狐の嫁入り」という天気でもありましたが、風の強さは相変わらず、夜になってもやみません。

そういう悪天候ではありましたが、多摩センターの丸善、オープンでした。

と、その前に、表題に「多摩地区」と書きましたが、多摩地区と言ったらどの辺りを思い浮かべるのでしょうか? 東京の地理不案内の方には「テレビドラマの舞台になっているんでしょ、しょっちゅう撮影なんかもあるんだよね?」と言われそうですが、多摩地区と言っても広うございます。簡単に言えば、東京都から23区を除いたら、それがすべて多摩地区と言えなくもありません(伊豆諸島や小笠原諸島は除きます)。つまり23区以外の東京、というのも答えにはなると思います。

ですから多摩地区と言ってもかなり広いんです。散歩してればドラマの撮影に出くわすなんてことは、まずあり得ません。絶対ないよ、と言いきっても構わないくらいの確率です(笑)。それくらいの広さがあります。でも、多摩を代表する場所、多摩と言われて思い浮かべるのはどの辺り、という質問を東京都民、それもできるだけ西の方に住んでいる人にぶつけたら、そういう答えが返ってくるでしょう?

普通に考えれば、この数年来、まずは立川でしょうか。歴史的に言えば、多摩の中心は国分寺や府中かもしれませんが、それは律令制の時代ですからパスです(汗)。まあ、多摩地区を走る鉄道、JRの中央線、私鉄の京王線という2本があり、それぞれの路線のほぼ真ん中あたりに国分寺と府中があります。

ただ、どちらも多摩を代表する街と言うにはちょっとパンチが弱い、迫力不足な気がします。少し前、十数年前なら吉祥寺と言えたかもしれませんが、吉祥寺はあまりにも23区に近すぎますし、多摩と言うよりは武蔵野なんです、あたしの感覚では。(ここで武蔵野と多摩の違いを指摘されると、ますます困ったことになるので、ここはこのままスルーさせてください。)

とりあえず、鉄道の乗降客数で言えば立川が中心と言えると思いますし、百貨店などの商業施設も一番充実していると街です。その他、挙げだしたら切りがないですが、調布、八王子、町田なども多摩と言えば多摩の一部と言えるでしょう。こんな風に、中心がなく、いろんな個性的な街があるのが多摩の魅力の一つなのかも知れません。

と言いつつ、その名もズバリ「多摩センター」などという、ここが多摩の中心だと言わんばかりの駅があります。そこに今日、巨大書店・丸善がオープンしました。三越の中に1000坪を超えるフロア面積です。こんな大きな書店ができて、周辺の書店に影響は出るのでしょうか、出ないのでしょうか?


より大きな地図で 多摩センターに丸善! を表示

出ないってことはないですね。まずは同じ多摩センターには、くまざわ書店と啓文堂書店がありますが、面積的には両店合わせても丸善より小さいでしょう。規模である程度丸善と張り合えるのは、首都大学もある京王線で二つ隣の南大沢にあるアバンティブックセンター、更にその先、神奈川県に入ってしまいますが、橋本にあるアカデミアくまざわ書店でしょう。そこまでの広さはないものの、これまでは地域でも大型書店と言われていた、府中の啓文堂書店、聖蹟桜ヶ丘のくまざわ書店も証券がかぶるところがあると思います。そして、多摩モノレールで繋がっている立川のオリオン書房もこれから影響を受けるのか受けないのか・・・・・・。南に目を転ずれば、小田急沿線の町田や新百合ヶ丘だってそれほど遠くはなく、車を使えば十分買い物圏と言えるのではないでしょうか。

そんな多摩地区の書店界、今回の丸善のオープンでどう変わるのでしょうか?

とりあえず今日のところは、丸善は大混雑でした。丸善だけでなく、それが入っている三越のリニューアルオープンでしたので、とにかくデパートに人が押し寄せていたという感じです。丸善は文具もかなりの広さですので書籍と文具の相乗効果も期待できると思います。午後、ちょっと行ってみたのですが、レジには大行列ができていました。

どの店のオープンでもそうですが、どうしてもレジは実際にお客さんが来て動き始めると、それまでの練習とは違った問題が出てきたりして、店員さんもまだ慣れていないので、どうしても時間がかかってしまうものです。あたしが見た限り、30分は大袈裟でも、10分から20分くらいは並ばないとならないくらいの列が出来ていました。たぶん、天気も回復する明日はもっと混雑するのではないかという気がします。(書籍と文具とレジが同じところなので、余計混雑していたようです。)

もちろん「こんな混雑は初日かしばらくの間だけ、じきにオープン時の混雑が嘘のように閑古鳥が鳴き始めるよ」という言われ方もしばしばされるものですが、この丸善はどうでしょう?

当初、あたしはこの場所にこれだけ大きな書店は必要ないのではないか、いまある啓文堂書店とくまざわ書店だけでこの街には必要十分ではないかと考えていました。ただ、最近は考え方が変わって、成功するのではないかと思い始めています。

別に数字的な裏付けがあるわけでもなければ、長年の経験に裏打ちされた確かな手応えがあるわけではありません。もちろん動物的な勘が働くわけでもなければ、女の第六感も発揮された試しがありません。あくまで、なんとなく、漠然と感じるだけなのですが、あえて根拠を挙げるとすれば次のようなものです。

もしこの丸善が500坪程度の規模の書店だったら、むしろ失敗したのではないだろうか、と思うのです。そのくらいだったら立川のオリオンの方が大きいし、本当に探している専門書は新宿まで出ないと見つからないだろうと思われてしまうからです。

でも、今日オープンしたのは1000坪を越える規模の書店ですから、「これなら新宿に行かなくても、もちろん立川に行かなくても、たいていの本は見つかる」と人々が思うのではないでしょうか? もちろん、本がある、ないというだけならネット書店に軍配は上がりますし、それで売れるというものではありません。でも、それでもやはりこの規模なら、欲しい本も見つかるはずと言う期待を抱かせるには十分ではないでしょうか?

そうすると、これまで定期的に都心の大型書店へ買い出しに行っていたような、パワーユーザー、ヘビーユーザーの方もそれなりに取り込めるでしょう。もちろん、そういう方々は丸善が出来たって都心の書店に行くのはやめることはないでしょう。

むしろ、これまで都心まで行くのは面倒だなと思っていた、眠れる潜在読者層を掘り起こすことになるのではないか、そういう風な期待というか未来予想図を、あたしが薄ぼんやりと持つようになってきたので、「成功するのでは」と思うようになったのです。

たぶん、この丸善に限らず、そういう読者を掘り越せれば成功するし、掘り起こせなければ失敗するのでしょう。丸善&ジュンク堂ですから、本好きの需要に応えるためのノウハウは持っているでしょうし、文具売り場が充実しているというのも嬉しいことです。

そんなこんなで、「成功するのでは」と思い始めるようになったのですが、上に書いたように、何の裏付けもなければ、説得力のあることも言えないわけですけど、そう思います。

むしろ肝心なのは、丸善が入居する三越の魅力かも知れません。この数年来、書店としては悪くないし、お店の人も頑張っているのに結果が出ないというケースが多々あります。それって、書店が出店したショッピングモールやデパートなど商業施設自体の人気がふるわないことが最大の原因だったりします。そこが一番の心配の種です。

三越が流行って人が集まるようになれば、丸善も繁盛する。そして丸善に本を買いに来た人の中には「そうだ、来たついでに」と啓文堂やくまざわに寄っていく人も出てくるでしょう。多摩センター地区自体の集客が上がれば、多少の勝ち負けはあるでしょうけど、街自体の活気が出てきて、よい循環になるのではないでしょうか?

それにしても京王線で繋がっていますから、多摩センターの丸善出店で一番被害を受けるのは新宿や渋谷のジュンク堂なのかも知れません(汗)。

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