2011年4月 4日

孫文が落選

毎年、出版社8社で行なっている「書物復権」という企画。やはり限定復刊なので、お値段がやや高めになってしまうのですが、毎年毎年、「ああ、これが復刊されるんだ!」「こんな本があったのか!」と興味を引く書目が目白押しです。

で、この企画、最初のころはともかく、ここ数年は書店店頭で事前に復刊候補書目を発表して陸ええストを募り、最終的に復刊される書が決まるしくみになっています。そういう意味では、最初のところでフィルターがかかっているわけで、純粋に読者のリクエストにこたえているわけではありません。

でも、権利の問題とか、既に原本が失われているなど、そもそも復刊候補に挙げられない本というのもあるわけで、そういうものまでリクエストが来ていては取りまとめる出版社の側も作業が繁雑になりすぎます。そういう意味では、現在のやり方が考えられる最善の策だとは思います。

で、今年なんですが、当初発表されていた候補作の中に岩波書店の『孫文伝』がありました。鈴江言一の著作です。ほとんどの方は知らないと思いますが、孫文でんと言えば本書を挙げる研究者は多いと思われる、隠れた名著です。

あたしは、今年が辛亥革命100年に当たるので、岩波書店は当然、ほぼ百パーセント復刊書目に入れるつもりでこの本を候補銘柄に載せたのだろうなあと思っていました。アニバーサリーイヤーという外的条件があるわけですから、この機を捉えずしてどうするのだ、と心の中であたしは思っていたわけです。

ところが、このたび復刊書目決定の知らせを受け確認したところ、なんと『孫文伝』がないではないですか! どうやら復刊最終候補に残らなかったみたいですね。残念です。今年こそ復刊するべきだったのに。

また当分は古本屋で捜すしかないのでしょうか?

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