2011年4月 3日

一時的に品切れ

ネット書店のアマゾンで本を検索すると、かなり多くの商品が「一時的に品切れ」という表示になっています。品切れではなくとも、配送までに一週間以上かかる商品の割合も増えている気がします。統計を取ったわけではないので、あくまでアマゾンのウェブサイトを見ていての漠然たる印象ですけど、当初アマゾンの倉庫も震災の被害をかなり受けたというニュースが流れていましたので、その影響なのでしょう。

そう言えば、震災直後から最近まではトップページに震災に対するコメントが載っていましたね。この数日はこれまでどおりのページに戻っていますから、ようやく倉庫も元へ戻ったということなのでしょう。でもまあ、完全に平常に戻るにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

アマゾンが正常稼働していないから、そして計画停電が回避され続け、デパートなどの営業時間が徐々に延びているからなのでしょう。この一週間、リアル書店に客足が戻りつつあるような気がします。すべての書店がそうだ、というわけではありません。中には「もう全然、さっぱりだよ」というところもありますが、全体としてはかなり復調してきているという感触です。

確かに、都心部の書店でも夕方6時で閉店というお店がまだまだありますので、夕方から夜にかけての売り上げダウンの影響はカバーし切れていないのかも知れません。それでも、震災直後の一週間の状況に比べると、短時日でよくぞここまで、という気がします。

これも既に書きましたが、停電になると、本当にやることがなくなってしまうからか、本をまとめ買いする方が結構いると書店員さんたちは口を揃えます。本だけでなく、コミックのまとめ買いも多いようですし、3時間で読み終わりそうなお手軽な本だけでなく、かなり歯応えのあるような本を買っていかれる方もいるのだとか。(さすがに、買い占めは起きてないみたいですが・・・・・・爆)

そう言えば『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』の中で、ウンベルト・エーコが、数百年たってもこうして読むことができる紙の本を、発明された時点で既に完成された作品と語っていましたが、そんな言葉を改めて思い出しました。そうそう、彼は同時に、電子書籍はほんの数年でフォーマットが変わったりハードが変わったりして読めなくなってしまう、とも言っていました。

夕方から夜の停電だと本を読むどころではなく、冗談抜きで「寝るしかない」状態ですが、昼間なら確かに本を読むのは時間潰しに持ってこいでしょう。

で、話は始めに戻ってアマゾンですが、アマゾンに限らずネット書店は、配送が不安定になると途端に機動性が失われ、言葉を悪く言えば「使い物にならない」ことになってしまいます。それに対してリアル書店の場合、そりゃ何冊か棚から落ちて表紙が折れたり破れたりして売り物にならない商品が発生したでしょうけど、お客さんがお店に行けば目の前に商品はあり、その場で買って帰ることができるわけで、今日か明日かいつ届くかわからないネット書店よりははるかに機動性に優れているわけです。

リアル書店でもネット書店でも、「出版社→取次→書店」という流通の流れは同じです。ネット書店の場合、「書店」の部分が「ネット書店の倉庫」に変わるだけでしょう。ただ、リアル書店ですと「書店→読者」という最後の部分にほとんど流通と呼べるものが介在しないのに対し、ネット書店の場合、「書店(倉庫)→読者」という風に、最後の段階で更にもう一回流通(配達)という手間がかかる分、不利になっているわけです。

確か、ネット書店にしろ、(書店以外の)ネットショップにしろ、24時間いつでもどこでも好きなときにお買い物、というのが売りでしたよね。それが、こういう非常時には「手に入れたいときに手に入れられる」という、もっとも消費者の立場、客の目線から見て重要なことに対して、リアル店舗の後塵を拝すとは皮肉なものです。

技術の粋を集めた原子力発電所が津波という極めて単純な自然の力で簡単にやられてしまうのと重なって見えます。

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