2011年3月17日

活気が足りない

震災後はじめての書店営業。

とは言っても、この状態で営業もなにも、ある種、陣中見舞い的な訪問です。主として新宿を回りました。月曜日など、震災後すぐに訪問してもよかったのですが、現にそうしている出版社もあったようですけど、あたし的にはとても顔を出せるような気分ではありませんでした。

で、その新宿。

人が少ないですね。確かに日によって、天気によって変わるものではありますが、どんなことがあろうと新宿の人出は不変というイメージがあったので、これだけ人出が少ないと、今回の震災の影響の大きさを思い知らされます。

もちろん、どこよりも人の多い町ですから、今日だって東京中で一番人が集まってきている場所だったろうとは思います。まるっきり閑散としているというわけではなく、それなりに人は大勢います。でも、やはり普段の新宿と比べると、なんか寂しいよね、という感じなんです。

お店も閉まっているところが散見されます。デパートの中でもやっていないテナントがあります。そもそも暗いです。街のネオンのせいだけではなく、ビルの中の照明も少し落としているようです。ゴーストタウンの十数歩手前という感じがします。

書店の方は皆さんお元気でした。人も少ないし、売り上げもパッとしないみたいです。とにかく勤め帰りのお客が主である新宿の書店にとって、5時や6時で閉店というのは、売り上げ的にはものすごい痛手ではないでしょうか? そして、その閉店時間繰り上げがいつまで続くのか、先が読めないもどかしさもあるようです。

電力の綱渡り状態が続く限り、自分のところだけ「今日から9時までやります」とも言いにくい状況でしょう。特に、デパートなどの中に入っている書店の場合、自分たちだけで決めるわけにはいきませんからね。デパート側が「明日から通常時間に戻ります」と言えば、書店もそれに従うだけでしょう。

そうは言っても、東京は地震の被害で街がメチャクチャになったわけではありません。本が読みたい人、買いたい人は決していなくなったりはしません。そういう人はこういう状況下でもきっと本を買いに来てくれるはずです。だからこそ、きちんと本を並べたい、売れるものは切らさずにちゃんと積んでおきたい、と言ってくれる書店員さんが大勢いました。励まされます。

こちらも、少しでも勇気づけたいところですが・・・・・・

幸い、あたしの勤務先は人的な被害もなく、ほぼ全社員が定時出勤できています。一番被害を受けたのは倉庫ですが、そちらも昨日までで一通りの片付けは終わりました。細かな整理はこれから追々ということになりますが、態勢的には平常にほぼ戻ったと言ってよいかと思います。先週来の出荷できなかった注文が多少滞っていますが、それも来週には出荷できると思います。

何より、通常より数日納入までの日数はかかりますが、月曜日から受注業務はストップせずにこなしてきているわけですから、そういった情報は書店さんにとっても励みになるのではないでしょうか? 本を売りたい本屋さんがある以上、出版社としてはそれに答えなければなりません。

問題は、むしろこれからなのかも知れません。

本を作るための材料は調達できるのでしょうか? 問題はガソリンですね。ものを作るにも運ぶにも、とにかくガソリン、石油です。決して窮乏しているわけではないのに、どうもうまく市場に回っていないようです。ここが解決されれば、経済状態もかなり回復すると思うのですが・・・・・・

あとは、電力不足でしょうか? 福島の原発が当面使えないとなると、電力不足はずーっと続くわけですよね。となると節電はこれからも続くのでしょう。毎日毎日代わる代わる数時間停電が起こるわけですか? となると、やはり書店だけでなくデパートなど通常営業には戻れませんよね。これが戻らないと経済の回復はおぼつかないのではないでしょうか?

うーん、先は長し、ですかね。

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