2011年3月15日

坂道を転がるように......

輪番停電だとか、間引き運転だとか、節電だとか、募金活動だとか、こういう言い方は不謹慎ですが、いま現在は「非日常」ゆえの一種の昂揚感が東京を覆っているような気がします。でも、そろそろそんな気持ちも消え失せ、暗い暗い現実が待ち構えています。

別に、福島の原発の事故のことを言っているのではありません。出版界のことです。

東北地方の書店さんはかなり甚大な被害を受けているようです。ただ、問題は書店自体が受けた被害ではなく、東北地方が受けた被害の方です。こんな状態で誰が本を読もう、本を買おうとするでしょう? 復興までにはまだまだ長くて遠い道のりが待っています。被災した人々が「本でも読みたいな」という心の余裕を持てるようになるのはいつになるのでしょうか?

東京も同様です。

節電のために、書店も営業時間の短縮が行なわれています。それ自体は過重勤務が心配でしたので、書店員さんの肉体にとっては朗報ですが、お店の売り上げ的にはどうなのでしょう? もちろん、夕方5時や6時で終了する場合と9時、10時までやっている場合の売り上げと人件費や光熱費を厳密に比べれば、案外損はしていないのかも知れません。

でも、この営業時間の短縮、むしろ精神的と言いますか、気持ちの問題に大きな影響を与えるのではないでしょうか? つまり、なにか楽しいことをしようという気持ちが萎える、なんとなく娯楽は敬遠する雰囲気が蔓延する、といった感じです。

もちろん、遊園地に行くとか、カラオケボックスに行くなどという娯楽に比べたら、読者は極めておとなしいものだと思いますが、いまの東京を見ていますと、とにかく全体的に経済活動がこれまでの数分の一にまで縮こまってしまったような気がします。

節電に関してはどうやらかなり長引きそうです。長引く出版不況に追い打ちをかける、否、とどめを刺すのではないか、そんな気さえしてきます。

いやいや、こんな時こそ頑張らないと。



違う。

そうじゃない。

頑張らなくてもいいんだ。もっと普通に、できるだけ日常どおりに過ごすことが肝心なんだ、そう思います。

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