2011年2月20日

リアル書店の優位性?

眠くなってしまったので寝てしまったから、HDDに録画しておいて今日になって見たのがTBS系ドラマ「LADY」です。今回は、あたしの好きな市川由衣ちゃんがゲスト出演していましたから、見逃すわけにはいきません(笑)。

で、途中でたぶん市川由衣ちゃんが真犯人だろうとわかってしまったのですが、彼女は全くの純粋無垢なヒロイン役もやれれば、こういった犯人役もできるし、意地悪な娘役もできるし、なかなか幅広い女優さんだと思います。やはり目がキリッとしているからでしょうね。

閑話休題。

今日の朝日新聞読書欄の片隅にちょこっと書いてあった記事、丸善や東京堂の社長の書店の魅力に対する考えが載っていました。最近のこういった業界人の話の常で、やはり電子書籍絡みの話題であり、それに対する書店のアドバンテージについて語っています。

で、この記事に限らず、しばしば聞かれるのは、書店ならいろいろな本を一覧できる、思わぬ本との出会いがある、といった電子書籍に対するリアル書店の利点、優位性です。この意見に関してはあたしも同感なんですが、でも「本当にそうなのかな?」という疑問も感じます。

まず言えるのは、ネット書店だと自分の興味のある本ばかりを検索しがちだが、リアル書店なら全く関心のなかった分野の本に出会うことができる、というのは本当なのかという意見ですが、リアル書店で自分の興味あるジャンルとは異なるジャンルの本を見かけたからといって実際に買う人がどれくらいいるのでしょう? 買われなければ、つまり売れなければリアルだろうとネットだろうと同じこと、そういう本を見かけたと言ってもそれにどれほどの意味があるのだろうかと思います。

もちろん、そこで手に取ってパラパラとめくることのできるリアル書店と、立ち読みページがなければ全く内容がわからないネット書店の違いはあります。でもネット書店だと買った人、読んだ人の意見が載っていたりします。ググってみれば、その本に関する他の情報が得られるかも知れません。ここまで考えると、リアルとネットで甲乙つけがたいのでは、という気がします。

次に、ネット書店だとそんなに思わぬ本に出会わないのか、という点です。ネット書店のトップページには確かにいろいろな本が並んでいますが、たいていはこれまでに検索したり購入したりした本の履歴から予想される「興味を持ちそうな本」が並んでいるわけです。そうなると、確かに自分の興味の方にばかり関心が向きがちですが、商売である以上買ってもらわないと、と考えた場合、「興味を持ちそうな本」とは「購入に結びつきやすそうな本」ですから、これは当然のことだと思います。

でも、それでも「えっ、こんな本がオススメなの?」と思えるような本が並んでいることもありますし、リアル書店を離れてネットサーフィンをしていれば、これもこれで意外と思わぬ本との出会いというのはあるものだと思います。もちろん、多くの人はネットサーフィンと言っても、毎日決まったいくつかのサイトしか見ないという傾向にあるようですが、それでもそれなりに情報は転がっているものだと感じます。

ちなみに、二年ほど前の話ですが、あたしがアマゾンで中国学のちょっとした学術書を買ったときに、あるアイドル系の本を買ったことがありました。エロ本とかオタクっぽい本ではなかったのですが、とにかく芸能関係の本でした。で、しばらくたって、その学術書をアマゾンで検索してみたら、「この本を買った人はこういう本も買っています」の欄に、あたしが一緒に買ったアイドルの本が並んでいたのです。

たぶん、その時点ではアマゾンでその学術書を買ったのはあたしだけだったと思います、比較的新刊だったので。でも、だからといって、その本と同時購入のオススメにアイドルの本を出すなんて・・・。コンピュータのやることって、ある意味融通が利かなくて笑ってしまいます。

話がずれましたが、そんな意外な本との出会いもあるのではないでしょうか?

で、ネットでもいろいろな本に出会えるということの真逆として、リアル書店では思わぬ本との出会いがあるのかということですが......

職業柄、あたしなどは比較的本が好きな本で、日本人の平均よりちょっとは本を読んでいるかも知れません。くどいようですが商売柄、毎日のように本屋に行きます。本屋の棚を見ています。そんなあたしでも、やはり「へえー、こんな本出ていたんだ」という驚きや発見がリアル書店にはありますから、そこをとらえたリアル書店のアドバンテージは理解できます。

でも、どうでしょう? 一般的なお客さんが、それほど書店の中を回遊しているのでしょうか? 自分の興味意外のジャンルの棚を丹念に見て回っているのでしょうか? あたしは疑問です。確かにリアル書店には、隅から隅まで数時間かけて、それこそ一日かけて本屋を見て回る強者のお客さんも大勢いますが、それは一握りであって、多くのお客さんは自分の見たい本や探している本だけを手に取ってパラパラめくり、気に入ればレジに直行、お代を済ませて店を後にしているのではないでしょうか?

せっかく新刊と一緒に機関を回りに並べても全然見向きもされない、とは佳く書店員さんの口から聞かれる言葉です。思いのほか書店の中で自分の興味意外の棚を見て回っているお客さんって少ないのではないでしょうか? となると、「リアル書店なら思わぬ本との出会いがある」という言葉の説得力に疑問符が付いてしまいます。朝日の記事を読んだときに、そこのところを社長さんたちがどう思っているのか、と感じました。

もちろん、お店に足を運んでもらっているわけですから、そこは大きなアドバンテージだと思います。そのお客さんを興味のない分野の棚まで引き込むのは書店員さんの腕の見せどころであり、それこそがリアル書店の存在意義、面白さだと思いますが。


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