2011年2月16日

売り場の作り方

日々、書店を回ったり、出版社の人と話をしたりして考えさせられるのは、書店店頭における棚作りのことです。「海外文学が一本しかないから」とか、「諸外国語の棚は中韓仏独で二段です」といった話をしばしば聞きますし、します。

昨今の流行り(?)のジュンク堂のような大きなお店であれば、それこそどんな本だって並べられるし、置けてしまうかもしれません。まあ、そういう商品陳列の仕方に異論や反論のある人も大勢いることは知っていますが、とりあえず現状ではそういうやりかたもありだと思います。

でも、そうでない、そこそこの大きさしかない書店の場合、限られた棚(売り場)に何をどう並べるかということは、売り上げに直結しますので、かなり真剣に悩んでいる問題ではないでしょうか? いや実際のところ、こちら(出版社)にとっても死活問題です。

お店の人と話ながら、そのお店の客層はどんな感じなのか聞きつつ、あたしなりに思うところを話したりしていますが、別にデータ上の裏付けがあるわけでもなければ、経験によって裏打ちされているものでもありません。いや、苦しい弁明をさせてもらえば、多少の経験知はあるのかも知れませんが、他の出版社営業マンと比べて抜きんでているわけでもなければ、業界の動向に詳しいわけでもなく、豊富な知識があるわけでもないので、たぶん書店の人はたくさんの営業マンに話を聞いてリサーチしているのでしょうから、「枯れ木も山の賑わい」くらいのことにしかなっていないと思いますが......(汗)

で、寄ると触るとそういった棚作りの話になるのですが、もう少しマクロな視点で眺めたらどうなるのでしょうか? つまり棚作りではなく、売り場作りです。お店のエントランスから動線がどう伸びて、その左右にどういう商品を並べて、ということです。

いいのか悪いのかは別として、スーパーマーケットやコンビニでは、例えばこういった基本構成図が見られます。「だからどこのスーパーへ行っても同じなんだ」と悪口を言われようと、マーケティング的には徹底的に計算され尽くした配置になっているはずです。

それに引き替え、書店ではこういった「売り場の作り方」は、どの程度考えられているのでしょうか? あるいは徹底的に計算され、研究されてきたのでしょうか? 雑誌の配置場所やコミックの場所にはそれなりの工夫というか思考の跡が見えるようですが、それ以外の売り場がどの程度考えられているのか、よくわかりません。

あたしは別に自分が回っている書店さんの売り場作りに文句をつけているわけではありませんし、つけたいわけでもありません。そうではなく、他の業界、つまりスーパーとかコンビニですけど、そういった業界ではかなり研究され計算されているようなことが、書店業界では行なわれたのだろうか、という素朴な疑問です。

どの書店もそれなりに工夫はしていると思いますが、個人的にはまだまだ研究の余地はないのかな、という気がします。もちろん、スーパーなどの業界と書店とでは扱う商品の性格がまるで違いますから、同じような取り組みをすればよいというわけではありませんが、スーパーだけでなく、家電量販店だって、観光地のお土産屋だって、それなりにプロの目を入れて売り場を作っているそうです。それに対し、書店の売り場作りって、どのくらい研究されているのかなあ、と思うわけです。なにせ、再販制という、他の業界にはない制度も残っていて、何事につけ一時代古いところが残っている業界ですから......(汗)

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