2011年1月 6日

似てる(?)業界

先日、大型書店と街の本屋さんとの関係を、家電量販店と街の電気屋さんとの関係にたとえました

家電量販店のグループというと、トップのヤマダ電機ビックカメラヨドバシカメラなどが思い浮かびます。正月の朝日新聞にヤマダ電機の社長のインタビュー記事が載っていて、そこに家電量販店主要6チェーンの比較表がありました。売上高と店舗数が書いてあるのですが、それを見ていて思いました。

全国に驚異的な店舗数を展開しているヤマダ電機はなんだか文教堂くまざわ書店みたい。主要都市の駅前に大型店を出しているヨドバシカメラはジュンク堂。主要都市だけでなく、もう少し小さめの都市にも展開しているビックカメラは紀伊國屋書店。そんな風に感じました。

もちろん家電量販店チェーンの店舗数や売上高の比率が、これらの書店チェーンの比率と同じというわけではありません。店舗数はともかく売上高なんて、あたし知りませんから。

で、この家電量販店では、確かヤマダ電機が売上高が高いことを武器に、メーカーに対してディスカウントを要求していたとかしていないとか、そんなニュースが流れたことありましたよね。実際、どこまで「ゴリ押し」しているのかはわかりませんが、量販店のバイヤーがメーカーと交渉して少しでも他のチェーンよりも安く、よい条件で仕入れようと競争しているのは明らかでしょう。

先日のダイアリーで触れた「新文化」のコラムも、ある意味、それと似たような現象が書店業界でも起きていることを告発している内容だったと思います。

家電量販店の場合、「うちは日本全国の売り上げの3割のシェアを持っています」といったような条件でメーカーとの値引き交渉をしているのだとしたら、当然これからも規模の大規模化は進むでしょう。ヤマダ電機の社長も紙面で、現在の主要6チェーンが3チェーンくらいに再編成されるだろうと予想していました。

再販制に守られている出版界・書店界はここまでの激変、急変は起こらないのかもしれませんが、もし政治の方向性が変わって一気に再販制廃止へと進んだら、家電業界と似たような状況になるのでしょうか?

街の書店がどんどん消えていき、大型の書店チェーンだけが残り、その書店チェーンがそれぞれに売り上げシェアを材料として出版社と価格交渉(値引き交渉)をする、そんな未来図が描けなくもありません。毎日の新聞の下欄に載っている出版社の広告にも、定価ではなく「オープン価格」という表示がなされるのでしょうか?

ある本が、(かろうじて生き残った)街の本屋では1400円なのに、ジュンク堂では900円、文教堂では800円で売られている、そんなことも起きるのでしょうか? あるいは出版社の人間が幟を立てて、はっぴを着て、書店の店頭で販売に従事するようになるのでしょうか?(←家電量販店ではよく見る光景ですよね。)

たいていの出版社は、編集部と営業部の二本柱に、総務・経理部と広告宣伝部や製作部、装丁部門などで成り立っていると思いますが、もしこんな未来が訪れたら、交渉部門が営業部とは別個必要になるのでしょうか? 全くわかりません。そんな時代が来る頃には、あたしは定年を迎えているでしょう(笑)。

しかし、そういう状況もまんざら冗談ではないでしょうし、そこに電子書籍も絡んでくるわけですよね。電子書籍となると図書館などとも関わりが深まるでしょうし、権利関係で法曹関係者との付き合いも増えるのでしょうか? いずれによせ、規模がデカイもん勝ち、という状況になるような気がします。はっきり言ってしまえば、DNPの動きを見ていると、そのために着々と布石を打っているとしか思えませんから。

でもそんな未来予想図って、「少数派の意見にも耳を傾ける」はずの民主主義とは相容れないのでは?


と、あたしは家電業界に出版業界の未来を見てしまうのですが、果たして? (もちろん、独自のサービスで頑張っている街の電気屋さんに、街の本屋さんの未来をも見ていますが......)


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