2011年1月31日

iPad、某大学モデル?

いよいよ来年度の大学向け教科書販売の時期到来です。

いや、学生の皆さん本人は、4月に入学してから教科書を買うわけですけど、こちら出版社の出荷はそろそろ始まるのです。これがあたしの勤務先の大きな大きな柱です。大学での語学授業の減少、学生数の減少というダブルパンチはありますが、幸い大きな落ち込みもなく、この情勢下、よく健闘していると言ってよいでしょう。

あたしの勤務先が出している大学の教科書は第二語学の教科書です。中国語、韓国語、フランス語などが中心です。一般教養の講義形式の授業と異なり、語学は教科書がないと始まりませんので、それなりに学生の方々も教科書を買ってくれているようです(←そもそも教科書を買わない、ということが信じられませんけど)。それでも、1時限目の授業だと履修者が予想より少なかったとか、再履修のクラスはほとんど教科書が売れなかったといった話を耳にします。

実は、こういった教科書以上に売り上げを落としているのが辞典です。フランス語の辞典、ドイツ語の辞典などかつては春だけで千単位、万単位を売っていたのに、この十数年下がり続ける一方です。

理由はある程度はっきりしています。

まずは教科書と異なり、買わないとならないものではありません、辞書は。それからこの不景気による親の収入減というのも影響しているようです。教科書以外の参考書や辞典を買う余裕がない学生もいるのでしょう。もちろん、不景気ですから、自分自身が思うようにアルバイトを見つけられないという理由もあるかと思います。

それとは逆に、辞書を買うお金くらいはあるのに、ケータイや洋服など他のことに使ってばかりいて、勉強に回すお金が減っているというのも辞書が売れない理由になっています。また紙の辞書は電子辞書に喰われているという現実もあります。そして、教科書の巻末にちょっとしたミニ辞典が付いているから、わざわざ辞書を買うまでもないという理由もあるみたいです。

いずれにせよ、辞書を買わない理由はいくつか挙げられますが、それをはねのけて辞書を買ってもらえるような理由は、にわかには思いつきません(涙)。

ところが、紙の辞書が売れないだけでなく、この数年は電子辞書も売れなくなっていると、大学生協を回っていると、そういう声が聞こえてきます。やはり不景気で、紙の辞書よりはるかに高い電子辞書など買う余裕がないという学生もいるみたいですが、高校時代に既に買って持っているから、大学に入って改めて買う必要がない、という学生も多いようです。

さて、大学生協を回っていますと、その大学生協モデルの電子辞書を売っているのを見かけることがあります。話を聞くと、その大学の語学の先生(主に英語?)と相談して、電子辞書に搭載するコンテンツをカスタマイズして販売しているそうです。当然、その学校の先生が選んで辞書を入れているので、市販の電子辞書とは微妙に収録コンテンツが異なります。値段もかなり安く抑えられています。

たぶん、電子辞書メーカーとしては高校時代に既に買って持っている学生に、次の一台を買わせるための苦肉の策なのかも知れません。このビジネスが成功しているのか否か、あたしはよくわかりませんが、一時期は比較的規模の大きな大学生協ではよく見かけました、「本学限定特別モデル」と銘打って売っているのを。

で、思ったのです。

そろそろアップルも、大学生協とタッグを組んで、電子教科書と電子辞書をプリインストールしたiPadを大学生協で売り出すようになるのではないかと。大学生活で必要なものは一通り入っている、学内で使うぶんには学内無線LANを利用するので、ソフトバンクやドコモとの契約もせずにネットが利用できる。もちろん、市販品を買うよりは若干高いけれど、教材や辞書などがあらかじめ入っているわけだから、その代金も考えたら相当お得なモデル。

うーん、今春あたりから出るんじゃないかと思うのですが、無理ですか? 以前、電子書籍をプリンストールした(例えば、新潮の100冊とか)電子書籍リーダーが出ないかなと書いたことがありますが、それよりも、大学の教材をプリインストールしたiPadの方が現実的ではないかと思い直した次第です。

大学生協で、学生の履修登録に合わせて必要なテキストをプリインストールしてくれるサービスなんて始めてもいいのではないでしょうか? っていうか、たぶん、部分的にはそんな風な方向に進んでいくのではないでしょうか?

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