2010年12月29日

発売100万部なら

水嶋ヒロの小説、なんだかんだと言われながら、発売部数が遂に100万部を超えたとか。この不景気、出版不況と言われる中、スゴイものです。いろいろ言われていることが、すべてポプラ社の宣伝なのではないか、売るための戦略なのではないか、すべて最初から仕組まれていたのではないか、などなど、そんな風にまで言われていますけど(笑)。

ただ、今のところ作品自体については、あまりよい評判を聞きません。巷間噂されていることの真偽はともかく、本なのですから内容がよければそれで十分だと思いますけど、それが出てこないとなると辛いですね。(もちろん、素晴らしい小説だと絶賛している人もいますが、少数派のようです。)

でも、先日も書きましたが「100万部突破」と聞いても、あたしの場合「そんなに売れて羨ましいなあ」という気持ちよりも、「果たして数ヶ月後に、どれくらいの返品があるのだろうか」という不安というか心配の方が先に立ってしまいます(涙)。

話題性もあって、そこそこ実売率もよさそうとは言っても、100万部の全部が売れてしまうわけがありません。100万部発行で、売れたのが70万部くらいだとしたら、一冊1470円ですから、10億2900万円の売り上げですね。すごい数字です。大多数の出版社にとって、この数字はほとんど天文学的数字と言ってよいでしょう。そもそも年間の全売上がこんな額に届いていない出版社が大多数でしょうし(爆)。

でも見方を変えると、30万部が売れていないわけで、全部とは言わなくとも25万部くらいが返品されたら、3億6750万円ですよね。これもほとんどの出版社にとっては信じられないような金額です。

10億の売り上げと言ったって、制作費がかかっているわけですから、まるまるが利益というわけではありません。返品されてきた本も、全部を倉庫に置いておけないから断裁処分ということになれば、それはそれでお金がかかります。そういう諸々のお金が10億の売り上げから差し引かれていくわけですよね。果たして、どのくらいの黒字になるのでしょうか?

そもそも、こういう化け物のような商品の場合、いったいどういう損益計算をしているのでしょうか? 全く推測もできませんが、機会があれば一度是非話を聞いてみたいものです。

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