2010年10月21日

少子化?

「 少子化」という言い方は正しくないのですが、「人員削減」なんて言ってしまうと身も蓋もないので、あえて「少子化」と言います。

何のことかと言いますと、書店の人員のことです。つまり書店員さんね。どの書店も人が減っています。たぶん、本屋が好きでよく行っている人も、本屋さんの店員が少なくなっていることに気づくのではないでしょうか。もちろん、おじちゃん、おばちゃんでやっているような町の小さな本屋さんとか、もともと店員が一人か二人しかいないようなお店は別です。そこそこ大型の本屋さんの話です。

ひと昔前なら、大型書店でも棚の数列に一列くらいは書店員さんが作業をしているのを見かけたと思いますが、最近はどうですか? 広い店内、全然店員さんがいないブロックがありませんか?

バイトが辞めても補充をしない、正社員を採用しない、などいろいろと理由や要因はありますが、とにかく書店員さんが減っているのです。

お客さんの立場から見ると、見つからない本をちょっと聞きたくても身近にお店の人がいない、ということになりますが、あたしたち出版社の営業からしますと、お店の担当の方とじっくり棚作りや業界のことについて話ができないというジレンマがあります。

確かに、くだらない世間話をしていることだってありますが、そういった何気ない会話の中から次の企画やフェアのヒントが生まれたり、棚作りの工夫ができることだってあるわけです。そして、それが直接・間接に本屋さんの棚の魅力にもつながっていると思うので、それがなくなる(あるいは減る)ということは、本屋さんの品揃えや魅力に大きく影響してくると思います。つまりは売り上げ減ということです。

これは由々しき問題です。出版社は基本的にお客さんに直接本を売るわけではありません。本屋さんを通じて売るわけです。本屋さんで本が売れるということは、出版社にとっても儲かっているということであります。

各棚の担当の方が足りない、レジやサービスカウンターにいるということは、つまり棚のメンテナンスもできない、やる時間が少ないということですよね。これでは、それでなくても不景気で、本離れと言われているのに大丈夫なのでしょうか? 本屋さんがもっと利益を上げられるような商売にならないとダメなのでしょうが、言うは易く行うは難しですね。

で、こんなことを書くのも、この一週間、関西を回ってきまして、東京だけでなく関西でも同じことが起きているなあと感じたからです。特に、このところ出店が続いたジュンク堂書店さんは、新規店開店に伴う人の異動もありましたから、一部では担当の方も変わっているようです。それに開店前には検品や棚詰めなどで、現地へ一週間近い出張もあるそうで、そうなると人が減っているだけでなく、全くいないことになりますよね。そんなことを見聞きしながら、書店を回っていました。

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