2010年10月11日

プリインストール

最近のパソコンって、あたし自身はもう数年来パソコンを買っていないので詳しいことはわかりませんが、どんな状態で売られているのでしょう? どんな状態、というのはソフトがあらかじめてんこ盛りになっているかどうか、ということです。

かつて、十数年前でしょうか、ウィンドウズ3・1、95とか、2000などが発売され、猫も杓子もこれからはパソコンくらいできなければとお店に向かったあの頃、富士通やNEC、ソニーなどいわゆる日本の国内メーカーのパソコンはワープロから表計算、ゲームに写真加工など、いろいろなソフトがあらかじめセットされた状態で売っていました。「プリインストール」と呼ばれ、パソコン初心者にはそれなりの好評だったと思いますし、それらのソフトをすべて買うのに比べるとはるかに安上がりにもなっていました。そういうところは電子辞書と似ています。と言うよりも、電子辞典の売り方がその延長線上にあると言った方が正確かもしれません。

また当時のプリンストールソフトでは、ワープロソフトでジャストシステムの「一太郎」とマイクロソフトの「ワード」がしのぎを削っていて、ユーザーもどちらを選ぶか悩みましたし、パソコン雑誌でもそれぞれの優劣をリポートする記事が頻繁に出ていました。「一太郎」と「ワード」だけでなく、当時は富士通の「オアシス」、コーレルの「ワード・パーフェクト」など、他にもそれぞれ個性的なワープロソフトが発売されていて、それなりに楽しい状況でした。もちろんワープロ以外にも表計算、データーベース、プレゼンテーション、グラフィックなど各アプリケーションにもライバルが複数あり、どれを使うかでユーザーの個性がわかったものです。

ただ、そういう状況は徐々に寡占から独占へと移っていき、言わずもがなですが、最終的にはマイクロソフトの一人勝ち状態になりました。グラフィック系ではアドビ社だけが残ったという感じです。こういう状況が決してよいとは思いませんが、デジタル社会になってデータの、というよりは具体的なファイルの互換性が問われるようになり、結局は「みんなが同じソフトを使えばほぼ問題ない」という、素人でもわかりやすい結論に落ち着いたというわけです。

で、話は元へ戻ってプリインストールです。

最初のパソコンを買うときは、別途ソフトを買わなくてもいいから便利なプリンストールですが、実際のところ、いくつかのソフトを除くと、ほとんど使わないものばかりです。もちろん人によっては「これ、便利!」「よく使ってます」というものもあるでしょうけど、アンケートを取れば、かなりはっきりと使う使わないが出るのではないでしょうか? 否、使う使わないではなく、必要か不必要かという感じでしょう。

そして徐々にパソコンになれるに従って、パソコンとは別に必要なソフトだけをインストールしたい、既にソフトは持っているからインストールしてある必要はない、という状況が多くの人に生まれます。あたしも最初の2台目か3台目くらいまではソフトがプリインストールされたものの買っていましたが、その後はパーツを選んで組み立ててもらう、カスタマイズ型のパソコンを買っています。

なので、いま現在、富士通とかNECとかが売っているパソコンはやはりソフトがプリインストールされているのか、それともされていないのか、よくわかりませんが、時代の流れとしてはこのように動いてきたと思われます。

ここであたしは「プリンストールなんて必要ない」と言っているのではありません。むしろその逆で、とっかかりとして、最初の段階、普及期においては、そういった展開の仕方は大いにアリなのではないか、と思っているのです。

つまり何が言いたいのか。

電子書籍端末のことです。

iPadは、あれは別に電子書籍端末ではありません。タブレットPCの進化形です。でも、今後は、かなり電子書籍の閲読に特化したものが発売になるようです。そんなとき、あらかじめ書籍がプリインストールされていたらどうでしょうか、ということです。読書傾向は千差万別、十人十色ですから難しいところですが、例えば広辞苑と英和辞典、ことわざ辞典のような入っていると便利なものの最大公約数、それとCD-ROM版がかなり売れたと聞く「新潮の100冊」のようなもの、こういったそこそこ大勢の人に受け入れられそうな書籍をあらかじめインストールして売ってみてはどうか、と考えています。

そういう話があたしの勤務先に来ているわけではありません。そもそもそんな対象になりそうな本はないですし......(爆)。

でも、電子書籍ですからマルチメディアとしても紙の書籍よりは優れていますよね。だったら、語学書の<エクスプレス>シリーズをすべてプリインストールしてある電子書籍リーダーなんてどうでしょう? もちろん音声も入ってます。語学好きには嬉しいのではないでしょうか? あるいはクセジュが絶版・品切れになったのも含めてすべてインストールされているものってのはどうかしら? テーマがバラバラですから、個人ユーザーには厳しいでしょうけど、図書館とかなら買ってくれるかも?

あるいは、毎月、雑誌「ふらんす」がダウンロードできる権利付とか、そういう売り方も可能ではないでしょうか、そう思います。スマートフォンで日経新聞を購読するように、電子書籍リーダーで週刊誌や月刊誌を購読する、その購読料込みで販売するというのもアリなのではないでしょうか?

つまり、ただ単に電子書籍リーダーだけを売っても、多くの人はそれを持て余してしまうのではないか、だったら最初からお試し的に何らかの書籍をプリインストールしておいた方が、普及の呼び水になりはしないだろうか、そう思うのです。

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