2010年10月 4日

オオギリの「石」について考える

石です。なんの変哲もない石のことです。

と言いますのも、ジュンク堂書店のウェブサイトで「本のオオギリ」という企画が始まりまして、その第一回目のテーマが石なのです。なにゆえ「石」なのか? ウェブサイトでは
石って宝石みたいにめちゃくちゃ高価なものまであるでしょ。深いところから掘りだしたり、わざわざ宇宙に出かけて採ってきたり。恐竜の化石だって石。なんかロマンがあってよろしいかと思いまして
とのことです。確かにその通りです。石を集めている人っていますよね。それに小さい頃、誰だって河原とかで拾ったきれいな石を後生大事にしまっていたなんて記憶があるのではないでしょうか?

そんな石ですが、ウェブサイトでもピラミッドとかストーンヘンジなどを挙げているように、石と聞くとどうしてもヨーロッパ文明という感覚があります。石の文化・ヨーロッパ、対するは木の文化・日本という図式です。

あまりにも単純な図式ですし、例外は、それこそ例外とは言えないくらいたくさんあるのでしょうけど、あたしの大まかな捉え方ですとそのようになります。

また、中国もどちらかというと石の文化、という感じを抱いております。初めて中国へ行ったとき、天安門広場もそうですが、故宮のどこもかしこもすべて石畳が敷き詰められていて、中国初体験のあたしはとても息苦しくなりました。「どこかに地面はないのか? 土の見えているところはないのか?」と思わずにはいられませんでした。

石を使うのは自然を征服して人間優位であることを示そうとしている意志の表われ、木を使うのは自然を畏敬してそれと調和していこうとする気持ちの表われ、そんな風にも感じます。だからといって日本がよくて中国やヨーロッパがよくないと言っているのではなく、あくまで相対的なものであり、それぞれの自然環境や文化がしからしめたところだと思っています。

中国ついでに中国へ引きつけて述べますと、かの有名な中国古典『紅楼夢』の別名は『石頭記』と言って、石にまつわるエピソードから始まっていたはずです。やはり中国は石が好きなんだなあと思います(笑)。

さてさて、この「本のオオギリ」ですが、第二回目のテーマは「猿」なんだそうです。「石」の次は「猿」ですか。どういうつながりなのでしょう、とお思いの方、わかりませんか?

やはりウェブサイトには「『西遊記』とか鳥山明の『ドラゴンボール』とかはすぐに思いうかぶのですが 」と書かれていますが、これって「石」から「猿」への謎解きがわかった上での発言ですよね?

『ドラゴンボール』は知りませんが、『西遊記』はご存じ三蔵法師ご一行様が天竺へと向かうお話です。でも主人公はと聞かれたら、たいていの人は孫悟空と答えるはずです。孫悟空は猿ですよね?

で、その孫悟空って誕生のエピソードはご存じですか? 花果山の仙石から生まれた、というのが通説なんです。はい、そのとおり、石から猿が生まれたのです。

「本のオオギリ」の担当の方、ここまでわかった上で第一回は「石」、第二回は「猿」というテーマを設定したとは、なかなかの粋人、中国への造詣も相当なものとお見受けいたします。

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