2010年9月28日

わたしたちはまだ、その場所を知らない

小池昌代さんの『わたしたちはまだ、その場所を知らない』読了。



ストーリーよりも何よりも、詩を生業としている小池さんの、周囲に対する、世間に対するもどかしさというか、不満というか、そういったものがものすごーく出ている作品ではないかと思いました。

そして、詩って面白いんだよ、愉しいんだよ、自分で作れなくたって、既にある詩を読むだけでも十分楽しめるんだよ、だからみんなにもその楽しさ、面白さをわかって欲しいなあ、そんな小池さんの声が聞こえてきそうです。

そんな思いを、そのまま小説に仕立てたのでは(?)と感じられる作品です。ところで、オビには「長編」とありますが、この長さで長編なのでしょうか? せいぜい中編ではないかと思うのはあたしだけでしょうか?

さて、ストーリーは、あたしからすると唐突に終わってしまった感があります。もう少しきちんとした結末と言いますか、何かあるんじゃないの、という期待感を持たせて終わっていると感じました。いや、そこから先は読者それぞれが感じ考えること、というのでしょうか?

主人公ミナコは何か変わったのか、成長したのか、井波はどうなった、ケイはどこへ行った、などなど疑問は尽きません。ただ、全体を通じて、教師・坂口の重圧というかプレッシャーが、ミナコでなくともうざったくなります。

いろんなことを考えすぎ、才走りすぎ、でもって、それが他人のためではなく自分のためであるところが、ますます救いの無さとなっています。たぶんあたしは坂口っぽい言動をとってしまいがちなタイプだと自己分析しているので、読んでいると自分の鬱陶しさを見せられているようでたまりませんでした(汗)。

読んだ感想を書く