2010年9月26日

エスプレッソ・ブック・マシン

「マシン」なのか、「マシーン」なのか、そもそも日本語の「ミシン」でしょという突っ込みも、今はさておき、今朝の朝日新聞の読書欄に小さく載っていた記事です。三省堂書店に年末までには導入される予定の、製本マシーンだそうです。

ネットを調べてみますと、二年ほど前にオーストラリアの本屋で導入されたという記事が見つかりました(三省堂のことはこちらなど)。あたしもたぶんその頃だと思いますがテレビで見ました。ただ、見たのはオーストラリアの書店の話ではなく、あたしの記憶が間違っていなければ、アメリカの図書館での話でした。貴重な蔵書、確か古書だったと思いますが、それをあっという間に印刷製本してくれるサービスでした。貴重書は館外持ち出し禁止ですから、こういったサービスが増えると持ち帰ってじっくり読むことが出来ますし、オリジナルの本が傷むのを防げます。あたしが見たテレビニュースでは、出来上がった本は借りるのではなく買うのだったと思いますが、どこまで記憶が確かか自信がないです。

で、三省堂書店です。

こういうサービス、あたしは今後増えるだろうと、このダイアリーでも何度か書きました。具体的にどんな機械でどんな本が作れるのかはよくわかりませんが、将来はきっと自分のiPadなどを持ってきて機械につなぎ、iPadの中の好きな本を製本できるようになると思います。

問題は、日本だと著作権処理でしょうか? あとは価格ですかね。この機械単体で本を選んで製本、となると、この機械がどれだけのコンテンツを提供できるかが普及の鍵になると思いますが、アマゾンやiTunesストアと回線で結ばれたりするのでしょうか? iPadをはじめとした各種電子書籍端末をつなぐことができるようになれば、そういったコンテンツの貧弱さは解消できると思いますけど。言うなれば、初期のカラオケの機械は、最初からその機械に入っている曲しか選べなかったけれど、昨今の通信カラオケの機械のように、サーバーにある曲から選べるようになると選択範囲はほぼ無限大になるのと同じ原理だと思います。

で、ふと思いました。

この製本機が、例えばネット回線で電子書籍販売歳とと繋がっていて、そこにある本ならどれでも(本のサイズの制限はあるとしても)製本できるようになったとします。製本機ですから、紙の本ができるわけですよね? でもその紙の本ができるためには、元データとしての電子書籍が普及していないとならないという、なんか矛盾とは言いませんが、おかしなことが起こりそうです。

かたや、自分のiPadやキンドルなどを持ち込んで、この機械につないで手持ちのコンテンツを製本したとします。わざわざiPadなどで読むための電子書籍を製本するなんて、時代の流れに逆行しそうですが、こういう需要は必ずあると思うのですよね。でも、上に書いたように機械がネットに繋がっていて好きなコンテンツをダウンロードできるのであれば、わざわざiPadを持ってくる必要もなく、その場でコンテンツを選んで製本すればよいことになります。もしかすると、電子書籍端末の普及が鈍くなるのでしょうか?

いや、前にも書きましたが、たとえばiPad上でコンテンツに編集を加えたりできるのであれば(←これこそ著作権の問題が絡みそう)、それは自分オリジナルの本(コンテンツ)ということになり、それを製本したら、この世に一冊だけの本ができますよね。プレゼントにもってこいかどうかは別として、そういう可能性は残っているでしょうか?

で、オリジナルの本って人それぞれでしょうけど、例えばあたしなら、各種文庫などで出ている『論語』の翻訳をひとまとめにしてしまうとか、洋書とその翻訳を見開きにレイアウトした本を作るとか、そんなことを考えています。

果たして三省堂書店にお目見えする機械、どんなことまでできるのでしょうか? それにしても「エスプレッソ」って命名、センスがよいのか悪いのか?

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