みすぼらしい吉祥寺
吉祥寺の駅ビルと言えば長いこと「ロンロン」でした。ロンロンと言えば吉祥寺、そう言われるくらい一体化していたと言っても過言ではありません。それがこのほど、長い間の改修、リニューアル小路を経て、ようやくアトレ吉祥寺としてグランドオープンしました。
真上を中央線が走っていますから、一から建て直したわけではないので、基本的な構造は変わっていません。多くの人がいまだに「ロンロン」と呼んでしまっているような状態です。中に入っているテナントもロンロン時代からのお店がかなりあるようです。もちろん、この機会に新規出店のお店もありますが、それほど印象が変わったという感じは受けないです。ただ、とにかく混んでいて、混乱状態が続いている、それだけです。
ところで、このアトレ吉祥寺、いわゆるアトレの部分は今回の工事できれいになりましたけど、JR吉祥寺駅の部分は、まだまだ工事中のところが多く、完成にはほど遠い見た目です。いつになったら真実のグランドオープンになるのでしょうか?
外から見ても、メインとなる吉祥寺駅部分の外壁は汚いままで、とてもみすぼらしいです。こういうところまできっちりリニューアル、お化粧直しをして欲しかったと、昔から吉祥寺を使っているものとしては思います。単に金がなかっただけなのか、それともJR吉祥寺駅は吉祥寺駅、アトレはアトレという、くだらないセクトでしょうか?
さて、アトレのグランドオープンで、ブックファーストがもう一店オープンしました。基本はコミック中心の店舗で、メインとなる売り場はあくまで既にオープンしているところのようですが、新店舗のオープンで既存の店舗の商品構成も少しは変わるのでしょうか?
で、来月には旧伊勢丹の再オープン、というか別のテナントビルに生まれ変わってのオープンです。あたしはその頃、きっと関西出張で東京にはいないでしょう。このビルにはジュンク堂書店がオープンするので、吉祥寺の書店業界勢力図がどのように変わるのか、どこが変わらないのか、それなりに気になります。
ところで、ジュンクができるというと、どこも既存店はどうなる、人の流れはどうなると話題になりますが、いまの世の中、本当にあれだけ大きな書店が求められているのでしょうか、とふと考えてしまいます。
確かに新刊点数は膨大な量で、それをすべて並べるためには、店舗面積がいくらあっても足りないくらいです。そして、書籍に限らず、どの分野でも「人々の好みが多様化している」と言われているようにお客様の求めているものも多種多様で、小売業・サービス業としてはそれに答えなければならないでしょう。
でも、変だなあと思うのです。「人々の好みが多様化している」「消費者のニーズはさまざまである」というこの言葉、確かにその通りですが、果たしてその通りなのだろうか、とも思うのです。
だって、書店の人と話していても、売れるのは話題になった本ばかり、その周りに関連本や併せてオススメしたい本を並べていても、全く素通りで売れない、という話をよく聞きます。もちろん、書店の人のみならず、出版社の営業としても、「ああ、そうだよね」ではなく、それでもお客様に既刊本・関連本にも手を伸ばしてもらえるよう知恵を出し合うのが仕事だと思いますが、一極集中、一点集中が起きているのもまた事実だと思います。
考えてみますと、村上春樹の「1Q84」にしろ、本以外の商品にしろ、世間で、特にテレビなどで騒がれると、誰もが一斉にそれに飛びつき、その話題になっているものの売り上げだけは桁違いに伸びるという現象がこの何年もの傾向としてあります。
となると、ジュンク堂のようなメガ書店って本当に必要なのだろうか、って気がするのです。
もちろん、何が話題になって売れるのかは予測できませんから、何が話題になっても対応できるように、ジュンクみたいに何でも揃えておくというのも一つの方法でしょうが、果たしてその効率と考えると、本当に商売として成り立つのだろうか、という気がします。
ジュンクのような大型書店へ来て、慣れている人は「たくさん本があって楽しいなあ」「これだけあれば、欲しい本が絶対に見つかる」といってワクワクするのでしょうけど、初めて訪れた人には「どこから見たらいいのかわからない」「自分の探している本はどこに置いてあるのだろう」ということになっていると思います。
これって、まるでインターネットという情報の洪水の中を漂う現代人のようです。だから、インターネットの世界でグーグルやヤフーが必要とされたように、ジュンク堂などのメガ書店にもグーグルやヤフーに当たるものが必要になるのだと思います。
でも、それは店内に並んでいる書籍検索機ではないでしょう。やはり書店員の知識と、棚の作り方、本の並べ方そのものが、書店におけるグーグルの役割を果たすのではないかと思います。そして、インターネットに対比した場合、書店のもう一つの特性として、書店の規模を選択できるということがあります。
インターネットは一つの大きな空間です。ネットの達人だろうと初心者だろうと、同じその世界に投げ込まれます。でも、書店という世界はジュンク堂のようなメガ空間もあれば、500坪前後の中規模、100坪前後の小規模、いや、もっと小さい書店もありますが、とにかく自分が参加できる空間を選択することができます。
達人なら1000坪超の書店へ、そうでない人は身の丈にあった大きさの書店へ行けばいいのです。そして、大きい書店を使っているからその人は偉いとか本の達人だ、ということにはならないのが、この世界のよいところです。現在はどうなのかわかりませんが、雑貨屋とかファッションブティックなどは、いたずらに大きなお店を構えているところは少なく、それこそ数坪の小さいお店が路地裏にひっそり、ということが多いですよね。1000坪超の店舗から、数坪まで、そういう多様な業態が可能なのも書店業界の面白さだと思います。そして、それは出版社の規模といみじくも対応しているのですが......
真上を中央線が走っていますから、一から建て直したわけではないので、基本的な構造は変わっていません。多くの人がいまだに「ロンロン」と呼んでしまっているような状態です。中に入っているテナントもロンロン時代からのお店がかなりあるようです。もちろん、この機会に新規出店のお店もありますが、それほど印象が変わったという感じは受けないです。ただ、とにかく混んでいて、混乱状態が続いている、それだけです。
ところで、このアトレ吉祥寺、いわゆるアトレの部分は今回の工事できれいになりましたけど、JR吉祥寺駅の部分は、まだまだ工事中のところが多く、完成にはほど遠い見た目です。いつになったら真実のグランドオープンになるのでしょうか?
外から見ても、メインとなる吉祥寺駅部分の外壁は汚いままで、とてもみすぼらしいです。こういうところまできっちりリニューアル、お化粧直しをして欲しかったと、昔から吉祥寺を使っているものとしては思います。単に金がなかっただけなのか、それともJR吉祥寺駅は吉祥寺駅、アトレはアトレという、くだらないセクトでしょうか?
さて、アトレのグランドオープンで、ブックファーストがもう一店オープンしました。基本はコミック中心の店舗で、メインとなる売り場はあくまで既にオープンしているところのようですが、新店舗のオープンで既存の店舗の商品構成も少しは変わるのでしょうか?
で、来月には旧伊勢丹の再オープン、というか別のテナントビルに生まれ変わってのオープンです。あたしはその頃、きっと関西出張で東京にはいないでしょう。このビルにはジュンク堂書店がオープンするので、吉祥寺の書店業界勢力図がどのように変わるのか、どこが変わらないのか、それなりに気になります。
ところで、ジュンクができるというと、どこも既存店はどうなる、人の流れはどうなると話題になりますが、いまの世の中、本当にあれだけ大きな書店が求められているのでしょうか、とふと考えてしまいます。
確かに新刊点数は膨大な量で、それをすべて並べるためには、店舗面積がいくらあっても足りないくらいです。そして、書籍に限らず、どの分野でも「人々の好みが多様化している」と言われているようにお客様の求めているものも多種多様で、小売業・サービス業としてはそれに答えなければならないでしょう。
でも、変だなあと思うのです。「人々の好みが多様化している」「消費者のニーズはさまざまである」というこの言葉、確かにその通りですが、果たしてその通りなのだろうか、とも思うのです。
だって、書店の人と話していても、売れるのは話題になった本ばかり、その周りに関連本や併せてオススメしたい本を並べていても、全く素通りで売れない、という話をよく聞きます。もちろん、書店の人のみならず、出版社の営業としても、「ああ、そうだよね」ではなく、それでもお客様に既刊本・関連本にも手を伸ばしてもらえるよう知恵を出し合うのが仕事だと思いますが、一極集中、一点集中が起きているのもまた事実だと思います。
考えてみますと、村上春樹の「1Q84」にしろ、本以外の商品にしろ、世間で、特にテレビなどで騒がれると、誰もが一斉にそれに飛びつき、その話題になっているものの売り上げだけは桁違いに伸びるという現象がこの何年もの傾向としてあります。
となると、ジュンク堂のようなメガ書店って本当に必要なのだろうか、って気がするのです。
もちろん、何が話題になって売れるのかは予測できませんから、何が話題になっても対応できるように、ジュンクみたいに何でも揃えておくというのも一つの方法でしょうが、果たしてその効率と考えると、本当に商売として成り立つのだろうか、という気がします。
ジュンクのような大型書店へ来て、慣れている人は「たくさん本があって楽しいなあ」「これだけあれば、欲しい本が絶対に見つかる」といってワクワクするのでしょうけど、初めて訪れた人には「どこから見たらいいのかわからない」「自分の探している本はどこに置いてあるのだろう」ということになっていると思います。
これって、まるでインターネットという情報の洪水の中を漂う現代人のようです。だから、インターネットの世界でグーグルやヤフーが必要とされたように、ジュンク堂などのメガ書店にもグーグルやヤフーに当たるものが必要になるのだと思います。
でも、それは店内に並んでいる書籍検索機ではないでしょう。やはり書店員の知識と、棚の作り方、本の並べ方そのものが、書店におけるグーグルの役割を果たすのではないかと思います。そして、インターネットに対比した場合、書店のもう一つの特性として、書店の規模を選択できるということがあります。
インターネットは一つの大きな空間です。ネットの達人だろうと初心者だろうと、同じその世界に投げ込まれます。でも、書店という世界はジュンク堂のようなメガ空間もあれば、500坪前後の中規模、100坪前後の小規模、いや、もっと小さい書店もありますが、とにかく自分が参加できる空間を選択することができます。
達人なら1000坪超の書店へ、そうでない人は身の丈にあった大きさの書店へ行けばいいのです。そして、大きい書店を使っているからその人は偉いとか本の達人だ、ということにはならないのが、この世界のよいところです。現在はどうなのかわかりませんが、雑貨屋とかファッションブティックなどは、いたずらに大きなお店を構えているところは少なく、それこそ数坪の小さいお店が路地裏にひっそり、ということが多いですよね。1000坪超の店舗から、数坪まで、そういう多様な業態が可能なのも書店業界の面白さだと思います。そして、それは出版社の規模といみじくも対応しているのですが......
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