2010年9月 2日

書店を愉しむ!

朝、朝日新聞を開いて驚きました。一面(全面)を使った広告。

丸善&ジュンク堂書店 渋谷店、本日オープン。

コンセプトは「書店を楽しめ!」だそうです。ということで、午後イチで見に行ってきました。場所は、言わずもがな、若者の街、渋谷。駅から少し丘を登った東急百貨店本店7階。ワンフロアすべてを使った、1100坪の巨大書店です。

ただ、入ってしまえば、いつもジュンク堂書店です。あたしが担当しているお店から渋谷店に遷った方も大勢いて、忙しい中、ちょこっとずつ歓談させていただきました。

さて、この書店を愉しめるのか?

確かに、これだけの蔵書量があれば、探している本はたいていのものが見つかるでしょう。実際に手に取ってみたかった本が目の前にある、これはアマゾンなどのネット書店にはない魅力です。否、魅力ではなく、醍醐味でしょう。

あと、リアル書店の利点としてよく言われるのは、探している本だけでなく、その隣、あるいは周辺に並んでいる本にも自然と目が行き、手に取ってみたくなる、という効果です。確かに、ネット書店でも、「この本を買った人はこんな本も買っています」という誘導はありますが、やはりリアル書店の棚には負けてしまいます。

だからなのか、ジュンク堂は、新刊本や話題書をお店の入り口付近の棚に置いてはいるものの、お店の大きさの割にはそれほどの分量・スペースではありません。やはり、どんな本も本来の棚でまずは売る、そしてその本だけでなく、各担当者がこれこそその本の隣に並べるべきだと思った本も一緒に見てもらう、手に取ってもらう、という意思表示なのでしょうか?

基本的にジュンク堂も単行本と文庫や新書は棚が分かれていますが、時に単行本の中に文庫や新書が混じって置いてあることもあります。その文庫、あるいは新書は文庫・新書コーナーよりもそこの棚に置かれる方がふさわしいという担当者の判断なのでしょう?

こういう配置が増えてくると、「どうして、この本はここに並んでいるの?」という本に出くわすこともあります。周囲の本を眺め、「ははーん、こういう流れなんだな」「そうか、ここで繋がるのね」といった推理は書店員さんとの虚々実々の駆け引きのようでスリリングでもあります。

しかし、しかし、ふと思います。

そういう棚作りをするときに、1000坪は必要な広さなのだろうか、ということです。300坪の書店では出来ませんか? いや、100坪の書店だって出来なくはないのでは、という気がしないでもありません。

出版社から見ると、中小書店では置いてもくれないような高い本、売れ行きが渋い本も置いてくれる、そして売ってくれるジュンク堂のような大型店は、「広いっていいよね」という感想がまず出てくる書店ではありますが、方や同業の書店員の人は「こんなに広い売り場は必要ないよ」という声をよく聞きます。

どちらも本音であり、正論であると思います。あたしみたいに、出版社営業としても半人前の人間が偉そうなことを言えた義理ではありませんが、1000坪クラス(まあ700坪以上ってところでしょうか)の書店が普通になってきたこのご時世、書店の差別化と言うことを考えると、200坪以下のお店というのは、小さいからこそ書店員の個性に突っ走れるメリットがあります。

むしろ500坪前後クラスのお店というのが、そこまで小さくはないけれど大型店というわけでもない(一昔前なら十分に大型店でした!)中途半端なお店になってしまっている感がありますね。今後、生き残りをかけた熾烈な争いに飲み込まれていくのは、この規模の書店だと、個人的には思います。

ちなみに、本日午後のMJ渋谷店、混んでました。他の東急百貨店のフロアがそうでもなかったのに句rべ、別世界のような混雑でした。2割くらいは業界関係者かなと思われるものの、一般のお客さんが相当入っていました。この週末も相当混むのではないでしょうか?

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