2010年8月25日

お客様って誰?

出版社にとってお客様って誰なのだろう、と時々考えることがあります。

社内でチラシなどを作ったりする場合、売行き良好書のチラシだったり、フェアの案内だったりするわけですが、そういう各種チラシを作るとき、悩むのはキャッチコピーなどです。その本なり、フェアなりのよいところをアピールするわけですが、要はアピールする対象が誰なのかということです。

本の宣伝なんだから、アピールするのは読者だろう、と考えがちですが、たとえば勤務先のウェブサイトならそれでよいのです。でも、あたしたちがふだん作るチラシというのは、読者の手に渡るものではなく、書店で配るもの、書店員さんに渡すものです。なので、読者へ訴えることとは微妙に異なる視点というか立ち位置というか、そういうものが必要になります。

別に書店員だって読者の一人なんだから、読者に訴えかけるものでいいんじゃない(?)、という意見もあるでしょう。でも、書店員はあくまで書店員、あたしたち出版社は書店員さんの手を借りてお客さんに本を買ってもらうわけだから、同じということはあり得ない、という意見もあります。

どのチラシを作るときにもこういう喧々囂々、侃々諤々の議論があるわけではありません。ほとんどのチラシは悩まずに出来上がっていきます。でも、時にふと立ち止まって考え始めてしまうと、このチラシはいったい誰に向けて作っているんだ(?)という堂々巡りにはまってしまいます。

書店員さんとしては、もちろん読んでくれている場合もあるでしょうけど、これだけの本が出版されている現在、すべての本を読むなんて無理な話です。自分でも読んで面白いと思ってくれた本なら、出版社からのチラシなど待たずとも、どんどん仕掛けて売ってくれているはずです。でも、気にはなっているけどまだ読んでない、という書店員さんに読んでもらい、売るための積極的な取り組みをしてもらうのに、こういうチラシが効果的に書店員さんの背中を押してあげることができたら、と思います。

で、結局のところ、まだ読んでいない書店員さんでも自信を持ってその本をお客様に勧められるように、うまーく要所を押さえて内容を紹介し、なおかつそのままポップに使えそうなキャッチコピーをあしらってあるチラシ、そんなのが作れれば「ありがたい」と思われるのでしょうか?


読んだ感想を書く