2010年8月13日

いまどきのブックフェア

お盆休みです。朝の通勤電車も、昨日などは、めっきり乗客が少なくなりました。朝早いので、いつもそれほど混んでいるわけではありませんが、さらに空いていた朝の中央線です。

でも、そうなると逆に増えるのが、行楽客です。やはり家族連れ、友達どうし、カップルなど、大きなトランクやキャリーを持った、これから遊んできます、といった風の人たちが増えてます。

そういう光景、どうも、性格が悪いからなのか、ほほえましく眺めることができません。なんか、心の奥底で嫉妬の炎が燃えている感じです。友だちもいなければ、恋人もいない、配偶者もいなければ子供もいない、そんなあたしにはとても実現できない映像というか光景が目の前にあるわけで、やはり心のどこかでそれを羨む気持ちがあるのでしょう。

こんなではいけません。まだまだ心の修養が足りませんね。お前は孤独死を運命づけられた人間なんだ、と改めて自分に言い聞かせ、ハートの大ヒット曲を聴いております。



さて、お盆休みが来ますと、もう夏休みも残りわずか、ファイナルカウントダウンですね。(←ここで、ロックバンド、ヨーロッパの往年の大ヒット曲「ファイナル・カウントダウン」が頭の中に流れた人は、あたしと同世代でしょう!)

夏休みとあたしの所属する出版業界の関わりと言えば、はい、「読書感想文」です。

考えてみますと、いまや朝読、家読と、国を挙げての読書推進運動が賑やかですが、そんな運動のはるか以前から、「夏休みの読書感想文」という、実はこれも一大国民運動である読書推進が行なわれていたのですね。こんなにも子供たちに本を読ませたがっているんですね、大人って。

しかし、読書感想文、根っからの本好き、普段から本を読んでいます、という子供には、まだまだ夏休みは十分にあるでしょうけど、あまりというかほとんど本を読まない子供には、「ああ、もう時間がないよ」という時期にさしかかってきたのではないでしょうか?

そんな子供たちのために、書店が助け船を出すフェア企画です。たぶん、とっくの昔からやっている書店もあるでしょうが、題して

まだ間に合う、夏の読書感想文応援フェア!

です。どういうフェアかと言いますと、まずは肝心要の本ですが、読みやすい、分量の少ない本など、今からでも十分読み終わりますよという本を書店員がチョイスして並べます。バイトの人にも協力してもらって10点ほど並んでいれば十分でしょう。恋愛もの、冒険もの、感動ものなど、ジャンルは多少ばらけていた方が読者には嬉しいかも。

で、次です。書店員、バイトの皆さんで、各自自分が選んだ本の簡単な感想文を書きます。200字程度で十分かと思います。それをポップ(ハガキ?)くらいの大きさの紙に書きます。手書きでもいいですし、ワープロでも構いません。B4とかA3とか用紙に、8面くらい貼り付けるような感じで作ればよいと思います。

選んだ10冊の本それぞれに感想文の用意ができたら、並べた本の隣とかに合わせて置いておきます。つまり、「読書感想文の見本つき!」というのが、このフェアの売りです。書店員が用意する感想文を200字程度としたのは、そこから読者が自分の力で更に感想を膨らませて欲しいからで、すべて出来上がっていたのでは、やはりマズイでしょう。

選び抜いた10冊の他に、作家や有名人の「私はこんな本を読んできた」「私の読書術」的な本を一緒に並べたり、「速読術」の本などを何点かチョイスして並べてみると、フェアにアクセントをつけられるのではないでしょうか?

似たようなフェアはあっちこっちの書店でもやっているでしょうけど、読書感想文の見本まで作って配布してしまうというのがミソです。やはり出版社とか書店の人間にも、それなりのプライドがありますから「感想文の見本まで用意するのは...」という気持ちがあるでしょうけど、ここはひとつ、清水の舞台から飛び降りるつもりで、そんなこだわりは捨ててしまいましょう、ということです。

ところで、読者は大好きだけど、感想文を書くのは苦手、という人っていますよね。あたしは、読書はもちろん好きでしたが、感想文となりますと得意ではなかったです。作文は好きでしたけど、感想文と言われると、好きな本を好きなように読んでいるんだからそれでいいじゃない、無理に感想なんか書かなくたって、感想は各自の胸の中にしまっておけばそれで十分、などと思っていました。

いまも、読書派好きだけど、感想文を書くのが嫌い、そういう子供ってたくさんいるのでしょうね。

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