2010年7月28日

代行業のこと

先日、iPadの発売以来、スキャナーが売れているということを書きました。そのダイアリーでも触れましたが、個人が自分の持っている本をスキャンしてiPadに取り込むことは法律上問題ないが、料金を取ってスキャニングを代行するとなると、法律上問題があるのでは、ということです。

そこで、ふと思い出したのが、以前に書いたダウンロードデータの製本サービスのことです。

あたしは、今後電子書籍が広まってくると、電子書籍だからこそ製本して「物質」としての本を持っていたいと考える人が増えるのではないかと思っています。つまりは、ダウンロードしたデータを紙に出力して製本するということです。

これを、現在もある出力ビューローのようなところでやってもよいのかもしれませんが、あたしは書店がそういうサービスをやるようになるのではないかと考えています。本ですから、あまり馴染みのないサービスビューローよりも本屋さんの方が一般の方にも親しみやすいですよね。

そこで俄然気になるのは、最近その動きが注目の的である大日本印刷グループ。大日本の印刷技術と丸善の文具のノウハウを活かせば、効率よく出力・製本サービスを始められるのではないかと思うのです。

ただ、これもiPadのスキャニングの話と同じで、個人が勝手に自宅のプリンタで出力したデータを製本するなら問題ないのかもしれませんが、上に書いたようなビジネスとして始めてしまうと、やはりあちらこちらで権利の問題が発生するのでしょうか?

以前こういう出力・製本サービスのことを書いた時には考えてもいませんでしたが、スキャニングでも問題が起きるとなると、出力・製本でも似たような問題が起きそうですね。

でも、世の流れとしては出力・製本サービスは、それなりに需要があると思いますし、流行るのではないかと思います。

紙質や表紙用紙をある程度お店の側で用意しておけば、そこそこの値段で製本できるのではないでしょうか? そもそも電子書籍は紙の書籍よりも安いはずなので、多少出力・製本代がかかったとしても引き合うのではないでしょうか? もちろん、表紙用に豪華な紙や布、革を選んでも(持ち込んでも)作れるようにオプションサービスは用意しておくべきでしょう。丸善なら、かなりいろいろな紙を調達できるのではないでしょうか?

そういうサービスの受付は全国のジュンク堂書店のレジ・カウンターでというわけです。あるいはもっと身近に、全国の文教堂でも受付できるようになれば便利でしょう。

問題は、やはり権利関係でしょうか?

一人一冊までは製本OKとしても、複数冊の場合はどうするか? あまり大量にやられたら出版社の商売もあがったりですよね。難しいところです。

あたしだったら、例えば、「論語」や「老子」の諸訳を集めて、一冊の本として製本してみたいなあとか、好きな短篇ばかりを集めて自分だけのアンソロジーを作るとか、好きな文芸作品だけを同じ装丁で製本して、マイ・セレクトの文学全集を編む、なんて夢想してしまいますが......

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