2010年7月14日

君は素知らぬ顔で

君は素知らぬ顔で』読了。

短篇連作で登場人物もちょっとずつ重なりますが、全編を通して時代のアイドル「ゆうちゃん」がものすごく存在感を発揮しています。それにしても、こういった短篇連作形式の小説、最近多いですね。やはり読みやすいからなのか、あるいは雑誌連載を単行本にまとめるとこうなってしまうのか、とにかく形式だけは食傷気味です(汗)。

さて、本作はその「ゆうちゃん」が少しずつ年をとっていくように、各作品ごとで時代が少しずつずれています。なので、ある作品の登場人物が、別の作品ではもう少し大人になって登場していたりします。最初は誰が誰だったかつかみにくかったのですが、そんなこと気にしなくても十分に楽しめます。

一連の作品の中では、あたし個人としては「水色の空」が秀逸、というか全作品の中でズバ抜けていると思いました。主人公のイタイ感じがたまりません。イタイのを他人からそう思われているだけでなく、自分でも十分に自覚している二重のイタさがたまらないです。

ここを通り抜けて、アラフォーと呼ばれてるようになってしまえば、それはそれで別のカテゴリー作品になってしまうのでしょうが、アラサーとアラフォーの境目、この微妙な立ち位置が何とも言えずイタくて、ヒリヒリします。



ところで、今朝は、熊に追いかけられる夢を見てしまいました。それも大きなヒグマ、あるいはハイイログマみたいな猛獣、人食い熊みたいな感じのです。

夢というのは、前日に起きたことに影響されたりするものですが、直前に呼んでいたのは上に挙げた本ですし、昨晩はテレビで熊なんか見ていないので、どうしてこんな夢を見たのかわかりません。

ただ、面白いんです。

ふつう、アニマル・パニックもの映画ですと、こういう動物はとても頭がよくて、人間が仕掛けた罠にも引っかからず、人間をじわじわと追い詰めていくものです。ところが、あたしが夢の中で見た熊は、本当にアホ、まったくもってただのクマなんです。岩場や木の枝からも滑り落ちるし、簡単なトラップにも引っかかるし、本気であたしを追い詰めようとしているのかわからなくなるくらい間抜けな熊でした。

さて、この夢は、いったい何の暗示なのでしょうか?


ところで「君は素知らぬ顔で」っていうタイトルの意味、わかりますか?


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