2010年7月11日

とある小倉日記(4)

前回、学校図書館、つまり中学や高校の国語の先生や図書室担当の方と、公共図書館の司書の方の連携がもっととれないものか、と書きました。

連携の度合いがどのくらいなのかはわかりませんが、今回訪問した山口県立図書館では「子どもの本☆テーマ・登場人物☆検索」や「中高生調べ方講座のご案内」といったウェブページも用意してあり、なかなか活発な活動をしているようです。県立図書館がこういうことをしていますよ、といった情報がどの程度県内の中高の先生方に届いているのか、そこが気になります。

さて、学校と図書館の連携はこれくらいで切り上げるとして、次は書店の件です。

今回は先に書いたように北九州の書店を回ったのですが、ヤングアダルト出版会の研修だけあって、主としてみるのは児童書などの棚であったりします。もちろん「ヤングアダルト」コーナーを作っている書店もありますし、各社それぞれ自社の出版傾向に併せて、他のいろいろな棚も見学していますが......

で、あたしのように児童書などには縁のない出版社的に見た感想ですが、どのお店もお店のスペースに併せてそれなりにコーナーを作っているようです。ただ、ここで感じるのは、特に児童書コーナーを見ているからかも知れませんが、小学生以下が対象だな、ということです。

絵本とか、音の出る本とか、楽しそうな本がたくさん並んでいますが、どれも幼児や小学校低学年向けという感じで、中学生以上の生徒がこのコーナーに来るのはちょっと抵抗がありそうだなあ、と思います。かといって、中学生や高校生にターゲットを絞ったコーナーがあるかといえば、そんな書店は皆無です。子供向けのコーナーと、あとは大人向けのコーナーばかりになります。

ヤングアダルトという言葉が、「アダルト」からエロチックなものを連想させるという、主として学校関係者からの意見が多いですが、それ以前に、やはり書店の現場でも、中高生向けに売り場(コーナー)を作るということに、ものすごく大きな壁があるみたいです。児童書コーナーがあれだけ楽しそうに作られているのを見ますと、それがいっそう際立ちます。

しかし、児童書コーナーというのは、基本的に親が選んで買ってあげる場です。でも、中高生ともなると大人の押しつける本など読まないでしょう。自分で選ぶようになるはずです。しかし、彼らはそもそもが本になどお金を使ってくれない、せいぜいが参考書かコミック、あとはケータイ小説です。

参考書は「学参」コーナーがあります。コミックも、最近は大人のお客さんの方が比重が高いのではないでしょうか? ケータイ小説も、紙ベースではなんか頭打ちのようですし......。(ケータイでは今も盛んに投稿され読まれているのでしょうか?) ヤングアダルト出版会がオススメするような本にはほとんど関心すら示してくれないのではないでしょうか?

いや、そうではなく、うまい具合に中高生を誘導できるような棚構成になっていれば、きっと手を伸ばしてくれるはず、そう信じたいです。(確かに本好きな高校生なら、大人が読者対象の文芸書をふつうに買って読んでいるみたいですから...)

そうなると、こちらもただセットを作って置いてもらうだけでなく、いま一歩踏み込んで、棚作りなどに提言できるくらいにならないとならないのかも知れません。

ところで、こういった研修を行なっていますと、学校の図書室担当の先生が図書委員を連れて地元の書店に行って、図書室に入れる本を選ぶ、ということをしているところが結構あるみたいです。折角お店に足を運んでくれているのですから、書店と学校の先生との交流、連携というのももっと図れないものか、とも思います。書店の文芸や児童書担当者と、国語あるいは図書室担当の先生が日常的に交流を持っていれば、本屋へ行っての本選びもスムーズでしょうし、それこそ「こんな本、入りましたよ」といった情報も流してもらえるのではないかと思います。

キリスト教ではないですが、三位一体、学校・公立図書館・書店、この三者がうまい具合にスクラムを組んでいければサイコーなのでしょう。と言いつつも、大人のこういう説教臭い物言いに、中高生は反発するのでしょうけど。

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