2010年6月30日

ゼロ年代[続]

昨日書いた「ゼロ年代」の続きです。

ゼロ年代、ゼロ年代と言っても、それは所詮、20世紀の百年を踏まえてあるものであり、その20世紀も19世紀の百年を踏まえたものであるわけで、もちろんゼロ年代の10年だけを切り取って見せる、というのはそれはそれで大事ではあるものの、そのゼロ年代を用意した、その前の100年はどういう時代だったのか、ということも考えないといけないのかもしれません。

そんな話の中から出てきた話題がこれです。

河出書房が池澤夏樹さんの責任編集で世界文学全集を刊行しました。いや、まだ第三期の刊行が残っているので、刊行している、というべきかもしれません。それはともかく、かつてのようなお偉い先生方が集まって予定調和的に各国の文学を集めるのではなく、あくまで池澤さんが考える、池澤さんが読みたいと思う世界文学を集めた全集は、確かに世間に好評を持って受け入れられたと思います。

で、そういう感じで、思想界でも全集を作れないものだろうか、というわけです。思想の場合、池澤さんがやったように、ある一人の人に編集を任せてしまってよいのか、多少の議論はあるかと思います。じゃあ、誰にやってもらうの、というところが最大のネックですが、河出に倣って全24巻、ないしは30巻で20世紀の思想を振り返る、そんな企画はダメでしょうか?

20世紀の思想を集めると、どんな著作が候補に挙がるのでしょうか? ニーチェを入れてよいものか、どうか。ベルクソン、サルトル、ハイデガーなどは順当に選ばれますかね? レヴィ・ストロースも入れていいですよね? アントニオ・ネグリとかもOKですか?

個人的には「哲学」ではなく「思想」なので、ヒトラー「わが闘争」、毛沢東「実践論・矛盾論」といったような著作も候補に十分ふさわしいと思うのですが。

岩波書店が「原典中国近代思想史」という全集(叢書?)を出していますが、そういった感じの全集です。「原典20世紀の思想(仮題)」なんてね。新訳でなくとも、定評のある既訳だったらそれでもOK、和訳のないものは新たに訳出してと、このあたりは河出の文学全集と同じです。

先に編集を誰にするか、と書きましたが、8割方は誰がやっても同じ作品になるような気がするのですが。

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