2010年6月26日

不思議な感覚

朝日新聞の夕刊に、時々、少し前に亡くなった有名人の惜別記事が載っています。で、本日の夕刊には先日亡くなった小松茂美先生の記事が載っていました。

ああ、通夜、葬儀と慌ただしく過ぎてしまったけど、もうひと月たつのですね。四十九日や新盆ですね。あんなに元気だった小松先生の訃報を目にすることがあろうとは、なんとも変な気分です。

ついこの前も電話でお話ししたばかりのような気がするのは、間違いなく気のせいなのですが......

小松先生に出逢わなければ、日本の古典に接する機会は、今の数分の一どころか、数百分の一、いや、数千分の一だったかも知れません。

読めないながらも、原典チェックのお手伝いで、いろんな日本の古典に触れることができました。たぶん、国文科や国史科の学生でもここまでは、と思えるほどの質、量だったのではないでしょうか。

小松先生は、それが正しかろうか正しくなかろうが、とにかく一本ご自身の信念を持っている先生でした。そんなところが、わが恩師・中下正治先生とウマが合ったのではないかと思います。あたしも、そんな誰が何と言おうとも、誰に何と言われようとも揺るがないものを身につけられればと思いながら、小松先生の元に出入りしていましたが、いまだに、芯どころか、爪楊枝程度のものすら身についておりません。

あたしの場合、信念ではなく、融通の利かない頑固さ、まさに頑迷固陋です。情けないです。でも、小松先生は、決して見捨てるようなことはなかったです。

いや、あたしが勝手にそう思い込んでいるだけで、とうの昔に愛想を尽かされていたのかも知れません。でも、こちらが向かっていく限り、小松先生はしっかりと受け止めてくださる先生でした。

それにしても、あたしは大学時代に、本当によい師に恵まれたと思います。こんなあたしにはもったいないくらいの方々でした。

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