2010年6月26日

思い入れはわかりますが...

新潮新書の『横井小楠』読了。

著者は、いわゆる市井の学者、在野の研究者で、たまたま興味を持った横井小楠に惚れ込んで、とにかくこんなすごい人物を日本人が知らないなんて、日本詩でも取り上げられないなんてもったいない、残念でならない、という熱い思いで本書を書き上げたようなところがあります。

実際のところ、横井小楠は歴史上もう少し評価されてしかるべきだとは思いますが、本書を読んでいますと、ちょっと持ち上げすぎではないかと思われるところも散見します。また学問上の手続きとして、その程度の史料からそう言いきってしまってよいものか、と思えるような部分も見受けられます。

せっかく、日本史に埋もれた偉人を発掘しているのですから、学会が刮目するような丁寧な史料の扱いが欲しかったです。特にこれだけ読み込んでいらっしゃるわけですから。もちろん、新書という性格もあるのかもしれませんが、そういう目で見ても、ちょっと乱暴なところがありました。

とはいえ、やはり横井小楠は西郷や勝海舟ほどに評価されはしなくとも、吉田松陰や高杉晋作くらいの知名度は持ってしかるべき人だったと思われます。

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