2010年6月23日

返品率よりも実売率?

昨日は結果的にまとまりのないことを書いてしまったような反省が、それなりにあります。で、もう少し考えてみますと......

例えば、都心部の大型書店にある本を30冊配本したとします。その一方で、町の小さな書店に2冊しか配本がなかったとします。発売からある程度時間がたって、余った本を出版社に返品しようとするとき、その大型店も町の本屋も実売は50パーセントだったとします。

となると、大型店からは15冊、町の本屋からは1冊だけ返品されてくることになります。同じ実売率でも、戻ってくる本のボリュームとしてはずいぶんと違うものです。

また、こういう見方はどうでしょうか?

ある大型店では、ある本を30冊売りました。おお、すごい、1店だけで30冊も売るなんて、もうお得意様、足を向けて寝られません。その一方で、ある町の本屋さんでは2冊売れただけでした。たった2冊か、まあ、そんなところだよな、複数冊売れたんだから、よかった、よかった。

でもでも、30冊売った大型店、仕入れた数は60冊だったとします。実売率50パーセントです。それに対し町の本屋さんが仕入れたのは3冊だったとします。実売67パーセントです。

一見すると、30冊と2冊で、話にならないかも知れませんが、実売ということで見ると、むしろ逆転現象が起きています。

そして、いま、あたしは喩えとして、60冊入荷して30冊売れたと書きましたが、実はそういう書店は稀で、実売率で言うともっと悪いところもあります。もちろん8割、9割売ってしまうお店ももちろんあります。ただ、いずれにせよ、分母がでかくなると、わずかな返品率でも返品冊数は大きなものになる傾向があります。

その一方、3冊入荷して2冊売れた、という書店は、意外に数多いです。売れたのが2冊ではなく1冊という書店も加えれば、かなりの数になります。そういう場合、3冊入って1冊売れると、残った2冊を返品するのではなく、1冊はお店に残し、返品するのは1冊だけというパターンが多いです。3冊出荷して戻ってくるのは1冊だけなら、300店でそうであったとしても、返品されるのは100冊ということになります。

逆に、大型店ですと、60冊入荷して20冊しか売れなかったから、それでも10冊はお店に残して20冊返品、という事例が、これまた結構あります。5店舗だけで100冊の返品です。

ちょっと、大型店を悪く書きすぎた感がありますが、現在の出版流通の悪いところをデフォルメ気味に描くとこんな感じ見えなくもないのです。

まだまだ、改善の余地はありそうです。どんな余地があるのかはわかりませんが......

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